イメージと現実のギャップ

これは大きな案件になる! と、ガッツボーズをしたものの…

お客さまの課題を解決できなかったときの話です。

以前、倉庫にダンボール2万箱、数億枚にも及ぶ原稿を、年間2,000万円の費用をかけて保管しているお客さまからご相談を受けました。インデックスもなく、倉庫から探すときに非常に手間がかかっているとのこと。保管費用もばかにならないので、この際画像化してきれいにしたいというご要望でした。画像は見られればよいので白黒でOK。特に検索キーも必要なしとのこと。

「中身は長年保管しているから分からないが、まずは見積もりを…」というお客さまの言葉に一抹の不安を感じながらも、「これは大きな案件になる!」と、電話を置いた瞬間に、小さくガッツポーズをしたほどでした。

まずは現地調査が必須と、早速アポイントを取り、現地での保管状況を見させていただきました。そこには予想していた以上の書類の山が…。

ずらっと並んだダンボールの中には、分厚いパイプ式ファイルがたくさん入っており、付箋が付いていたり、ホチキス留めしてあったりするものも結構ありました。中には書籍も混ざっていて…。これ、すべてスキャニングされるのでしょうか? チェックしていくにつれ、不安要素が大きくなっていきます。

お客さまのご要望にお応えしたいのは山々ですが…

改めてお話を伺うと、当初は「白黒でOK」といっていた画像が、「やっぱり画像はカラーで」となり、さらに「探しやすくなるよう検索キーも設定してほしい」というリクエストに変わっていきました。

(心の声:あれ? 画像は白黒、見られればよし、というお話は…? )

スキャンした後の原稿は? とお尋ねしたところ、「貴重なものもあるので、原本を保管したい」とのことでした。

(心の声:あれ、あれ? それだと結局、保管場所が必要ですよね…)

さらにお客さまからは、こんなお言葉が…。

「これでやっとスッキリできる! よかった! で、画像化にかかる費用は、今、保管にかかっている2,000万よりも安く上がりますよね!!?」

(心の声:…)

困りました。激しく困りました。

しかし、お客さまにいい加減なことをお伝えするわけにはいきません。

勇気を持って、この言葉を振り絞りました。

「あの…はっきり申し上げて、その費用感では難しいと思います…」

「なんで? おかしいんじゃない?」「スキャンするだけでしょ?」と、納得いかないご様子でしたが、一般の方が持つスキャニング作業のイメージと、実際の作業との間には、大きな乖離があることを痛感した瞬間でした。しかしながら、このお客さまのように〈スキャン→簡単→安い〉というイメージを持たれている方は、結構多いのです。

スキャニング作業は思った以上にお金がかかる

スキャニング作業・画像作成は、単純に原稿を保管するよりも費用がかかります。なぜなら、画像検索システムを構築するまでに、とても多くの工程が必要になるからです。

パイプ式ファイルから抜き出し→付箋の取り外し・ホチキス外しなど→スキャニング作業→もとの状態への復帰(パイプ式ファイルに戻すなど)

このように、ただスキャンすればよいというものではなく、前工程、後工程に作業が発生します。

今回の案件は、ここにプラスして、検索キーの設定があり、データ入力、リネーム作業が必要になります。また、取り込む画像に関しても、白黒よりもカラーの方が処理に時間がかかるので、その分費用が高くなります。

とりあえずいったん持ち帰り、お客さまのご要望をすべて含めた形で、改めて試算してみました。すると…目の前に叩き出された数字の桁数は、「億!!」。

10年かけても費用を回収できない価格となってしまいました。お見積書を見たときのお客さまのリアクションは…皆さまのご想像通り…です。

さらにお話を伺っていくと、そもそも保管している原稿を見に行く機会は1年に1回もなく、画像にしても、ほぼ使われない…ということで、残念ながらこの案件は流れてしまいました。そりゃごもっともです。「たまに使う」程度のものに、億越えの費用を使うのは現実的ではありませんから。

私たちが学んだこと

ここで学んだことは、お客さまに作業内容をご理解いただくことはもちろんですが、お客さまの実情に「画像化」することが本当にマッチしているか、私たちがしっかりと見極め、ご提案していくことです。

原本管理にお悩みのお客さまは、たくさんいらっしゃいます。画像化して、探しやすくしたい、効率化していきたいというお気持ちは重々分かります。でも、最も大切なのは、「そこまでお金をかけてもやる価値があるかどうか」を、しっかりとご検討いただくことです。

スキャンした画像は、どのくらいの頻度で使うのか、画像化したことにより、どの作業がどれだけ効率化されるのか、「原本を探す」作業がなくなることで、他にどんなメリットが生まれるのか…など、細かい項目をチェックして、「本当にスキャニングする必要があるのか」を検討していただきたいと思います。

人件費(書類管理、作業時間、捜索時間など)+保管費(倉庫費用) > スキャニング費用

とならないと、なかなかお客さまの望んだ結果になりません。

当社ではスキャニングのお見積もりを行う際は必ず「目的・用途」「現状の確認」をさせていただいた上で、最適なソリューションをご提案させていただきます。

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