【大学教授監修】「健康経営」に企業が取り組むべき理由と、実際の事例

公開日:
更新日:

【大学教授監修】「健康経営」に企業が取り組むべき理由と、実際の事例

監修 新井 卓二 先生


山野美容芸術短期大学 教授 
新井研究室 主宰
日本ヘルスケア協会 健康経営推進部会 副部会長
社会的健康戦略研究所 運営委員 特別研究員

1. なぜ「健康経営」に取り組むべきなのか

なぜ「健康経営」に取り組むべきなのか

少子化による労働人口の減少が避けられない現代、医療費の増加も問題になっています。
厚生労働省の発表によると、国民医療費は年々増加傾向であり、平成29年度は42.2兆円、前年度から9000億円増加しました。これらを踏まえると、企業には「1人の従業員にできるだけ長いあいだ働いてもらう施策」が必要となってきます。

さらに、従業員が健康で最大限のパフォーマンスを発揮することができなければ、企業が追求している「生産性向上」など実現できるはずもありません。ほかにも、うつなどのメンタル疾患や、労働災害に対しての企業の社会的責任を問う声も大きくなっています。こうした現状から、従業員の健康管理を重要な課題としてとらえた「健康経営」という言葉に注目が集まっているのです。

2. 「健康経営」とはなにか?

そもそも健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法のことです。

企業が従業員に対して、法律以上の健康投資により健康増進をはかったり、率先して病気やメンタル疾患の予防に取り組んだりすることで、健康問題による生産性低下や医療費の増大といった問題の解消につながるのです。

また、健康経営に取り組んでいることが認知されると、企業イメージ向上につながることにもなります。就職先を選ぶ際に「働きやすいかどうか」を挙げる人も増加傾向にありますので、入社希望者が増えて優秀な人材が集まることにもつながります。

健康経営に取り組むことによる企業イメージの向上は、人材の確保だけでなく、取引先をはじめとした多くの方との関係性構築にもつながり、多くのメリットを享受することができるといえます。

3. 企業はどのように健康経営に取り組むべきか

具体的に健康経営を実践していくうえで重要なのは、従業員の意思や努力だけに任せてはいけないということです。経営者が健康問題の重要性を理解したうえで、社内外にメッセージを発信して、行動が誘発される環境を作り上げる必要があります。

そして、いざ健康経営に取り組む際には、「自社を知る」ことと、「社員の健康状態を把握する」ことが大切です。現状の健康状態を見える化して共有することが、取り組みの第一歩となるのです。

次に、何に取り組むべきかを明確にするため、健康診断やストレスチェックテストなどを行い、受診率や健康状況を調査します。
どのような取り組みが健康経営に該当するかについては、経済産業省が主催している以下の健康経営度調査をご確認ください。

※参考: 経済産業省「健康経営優良法人の申請について」

さらに、その調査の分析結果に基づき、自社の健康課題にあった取り組みメニューや目標を設定し、達成できる数値や取り組み方法を決定して従業員に周知します。

やるべきことが多い場合には、できそうなことから取り組みましょう。例としては、ノー残業デーストレッチの時間の確保、個別診断による食事や運動の指導などが挙げられます。

しかし、どれだけ優れた目標を設定しても、従業員に実践されなければ意味がありません。そのため、説明会セミナーなどを開催し、従業員の健康に対する理解を促して意識を向上させ、定着させていくことが重要になります。

取り組み開始から一定期間経過後には、どれだけ実践され、どのような結果を残したかをアンケートなどで調査して、その結果を踏まえて施策を改善したり、新たな計画を立てていきます。

4. 健康経営に取り組んだ会社の事例

ここで、経済産業省によって認定される「健康経営優良法人2018(大規模法人部門)」に選出された、パーソルグループの株式会社ハウコム(旧社名)の取り組み事例を紹介します。

株式会社ハウコムは、ヘルプデスクやITサポート、コールセンターなどのBPOサービスを提供していました。何よりも「人」が資本となるハウコムですから、従業員が心身ともに健康でなくてはならないという観点を持つようになり、健康状態および生活習慣の現状把握として以下を実践していきました。

  • 1.健康診断結果の分析
  • 2.健康保険組合からの情報入手
  • 3.社員への生活習慣に関するアンケート

これらの結果を踏まえて具体的な取り組みを決定し、できることからスタートしました。その具体的な内容は以下のとおりです。

  • 1.自動販売機の商品構成の変更(トクホ、無糖商品を増やす)
  • 2.プラス1,500歩運動(歩数計の貸与)
  • 3.社員同士、家族を含めたコミュニケーション(スポーツイベント、ハロウィン、子供参観日など)
  • 4.勤怠管理システム活用での異常値検知(欠勤、遅刻、残業時間)

こうした取り組みの結果、食生活に気を配ったり、歩いて運動したりする社員が増加するなど、健康に対する意識の向上が見られました。また、メンタル不調者の早期発見や適切な労務管理といった結果にも結び付いていきました。

5. パーソルワークスデザインが「健康経営優良法人」の認定取得を支援

そのハウコムが商号変更した私たちパーソルワークスデザインでは、健康経営の取り組みを支援する「健康経営優良法人認定支援サービス」を提供しています。

大学との共同研究により開発したプログラムを活用して、企業の現状把握や分析、目標設定、行動変容などの活動を支援し、「健康経営優良法人」の認定取得を目指すためのサービスです。目標設定とその活動を支援する付加サービスとして、健康診断実施支援サービスや特定保健指導サービスも提供しています。

健康診断実施支援サービスは企業の健康診断実施を支援するもので、受診予約の代行や検診結果のデータ化などを通して、担当者の作業負担軽減を実現します。受診率向上のサポートとしても機能しています。特定保健指導サービスは、特定保健指導対象者に対して対面での面談やTV電話面談、電話フォローなどを行い、食事や生活習慣の改善を指導し、糖尿病などの重症化予防に取り組みます。

パーソルグループに蓄積する豊富なノウハウを活かし、企業の健康経営をきめ細やかにサポートします。まずは、お気軽にご相談くださいませ。

このページをシェアする

  • Facebookでシェア 新しいページで開きます
  • Twitterでシェア 新しいページで開きます
  • Lineで送る 新しいページで開きます

お問い合わせ・資料ダウンロード

ページトップに戻る