シリーズ:KCS③ KCSの「SOLVE」ループでは何をするか

ナレッジを中心に据えたコールセンターの運営をするのが「KCS」であり、サポート業界において先進的な米国ではナレッジマネジメントの手法として「KCS」が取り入れられています。そしてKCSの大きな流れを象徴するといわれるのが「ダブルループプロセス」ですが、ここでは、最初のループである「SOLVE」ループについて解説していきます。

Capture the Workflow

「SOLVE」ループの1つ目のプロセスは、「Capture the Workflow」です。ここでは、電話対応処理の中で「問題」を捉えていきます。

お客さまが話してくる内容の中から、「お客さまの見方」で「お客さまの表現」で問題を捉えていきます。新規にゼロから作り出すのではなく、対応処理の中でコンテンツを捉えるということがKCSの基本となります。

Structure for reuse

続いて2つ目のプロセスは、「Structure for reuse」です。ここでは、ナレッジを組み立てていきます。ナレッジのもととなる従来のインシデントというのは、いわゆる「コール記録」でした。例えば、次のような形です。

「顧客からUSB外付けHDDの接続時のトラブルについてコールあり。リブートしても外付けHDDを認識しないとのこと。バッファロー社のHDDを使用しているらしいが当社を通じて購入したものではない。内蔵HDDの動作には問題がないことを確認済み。これから会議なので明日の午前中に電話が欲しいとの要望。外付けHDDについて田中さんに確認済み。Win10で使用するには最新のドライバーをバッファロー社のサイトからダウンロードする必要があるとのこと」

これが、KCSでいう「ソリューション」になると、次のような記述をします。

問題
バッファローUSB外付けHDDのセットアップで認識しない
環境
バッファロー USB外付けHDD Drive Station HD-LC3
OS:Windows 10 home
解決策
バッファロー社公式サイトよりHDD最新ドライバーをダウンロード

ソリューションのポイントとしては、前後の状況や顧客視点を必ず入れることです。例えば「問題」では、お客さまが何を望まなかったのか書きます。「環境」では、製品・モデル・バージョンなどの事実を書きます。そして「回答」では、どうやって問題を解決するかを書くのです。

記録するソリューションは、文章である必要はありません。ただし、必要な言葉や単語を網羅していることが重要です。簡略化することで「状況」は「ソリューション」になり、ナレッジとしての検索性が高まり、使いやすくなるのです。

Searching is Creating

続いて3つ目のプロセスは、「Searching is Creating」です。ここでは、検索をしてナレッジを創り出していきます。

検索という行為は、ナレッジベースの初期のソリューションを作り出す仕組みになります。つまり、ソリューションが見つかっていない段階でも、問題だけを記録しておきます。そのナレッジベースを使いながら、解決策を見つけた人はそれを追記していきます。

この問題記録と解決記録のプロセスが繰り返されることが、問題解決の基礎としてナレッジベースを使う習慣になっていくと考えられています。そうしてナレッジを使いながら、新しい情報や足りなかった情報が次々に加筆され、ソリューションも充実していくというわけです。

Just-in-time Solution Quality

最後の4つ目のプロセスは、「Just-in-time Solution Quality」です。ここでは、利用しながら品質を高めていきます。先ほどの3つ目のプロセスでは、検索して情報を追記する、ということでしたが、この4つ目のプロセスでは、さらに「見つけやすくするために修正する」「不正確・不明確なソリューションを発見したらフラグを立てるか修正する」というように、“ブラッシュアップ”を図っていくプロセスです。

一般的に言われることですが、ナレッジベースの80%は利用されません。しかも、利用される20%のうち、頻繁に再利用されるのはその20%に過ぎません。ナレッジベース全体を常に見直していくのは時間と費用のムダになりますので、前述の20%×20%に集中してブラッシュアップをしながら、要求に応じて都度見直していくことが効果的なKCSの運用といえます。

また、すでに解決策が分かっているものであっても、その解決策で直らないケースが出てきたり、バージョンが変わってしまったり、より簡単なソリューションの情報を得られたりすることがあります。こういった変化にも対応していくことが重要です。

「SOLVE」ループでのポイントは、「今までこうだったからこうだ」と固定観念を持たず、柔軟な発想でナレッジに向き合うことです。そして、自分ひとりでソリューションを探すだけではなく、メンバーに聞いたりディスカッションしたりする場を設けて「ナレッジの集約」を図っていきましょう。

もし解決に至らない場合でも、「ダメでした」で終わることなく、何か代替案を提供できるよう知恵を絞ることを心掛けましょう。

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