採用戦略とは?具体的な立案方法や注意点などを徹底解説

多くの人事担当者を悩ませているのが、「優秀な人材の確保」です。従来の採用計画がうまくいかず、早急な見直しに迫られている企業もあるでしょう。優秀な人材を確保するために必要不可欠なのが、「採用戦略」です。
しかし、いざ自社で採用戦略を決めようと考えても「立案方法がわからない」という方も多いのではないでしょうか。これまで採用戦略について考えたことがなく「本当に必要なのか」と疑問に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで本記事では、採用戦略の定義や具体的な立案方法、採用戦略を実行する場合の注意点などについて解説していきます。
1. 採用戦略とは何なのか?
採用戦略とは、企業が「自社の求める優秀な人材」を採用するために立てる戦略のことです。企業経営において、『人』は重要な経営資源の一つです。安定して成長を続けるためには、質の高い人材の獲得が必要とされます。
また、中小企業をはじめとする多くの企業では人材不足が課題です。事業を拡大するためには人員の確保も重要なポイントといえるでしょう。中期経営計画や事業計画をもとに、長期的な視点で採用の方向性や軸を決定していくのが「採用戦略」なのです。
2. 採用戦略を立てる4つのメリット

それではまず、採用戦略を立てることが企業に対してどのようなメリットをもたらすのか、解説していきます。
(1)自社への応募を増やし、質の良い母集団の形成につながる
そもそも自社への応募者が集まらなければ、採用のスタートラインにつくことができません。中小企業やベンチャー企業は知名度や実績の点で大企業に劣る場合が多いため、採用方法を工夫しなければ、選考が実施できるほどの応募者が集まらない可能性が高くなります。
母数が少なければ優秀な人材に出会える確率も低くなってしまうでしょう。
一方、採用戦略を立てた場合には、市場の動向を踏まえながら、自社の魅力を効果的に伝えることができるため、応募者が集まりやすくなります。母数の確保だけでなく、自社が求める人材に絞って集客することも可能になるでしょう。
(2)内定辞退やミスマッチによる早期離職を防ぐことができる
採用戦略なしで人材を採用した場合、他社との差別化が十分にできず、せっかく内定をだしても辞退されてしまう可能性があります。
また、採用する人材要件を明確に定義していない場合、採用の判断は主観的になりがちです。「採用した人材のスキルが想定より低い」「社風や業務内容が自分に合わない」といったミスマッチが発生してしまい、早期退職につながるケースも出てくるでしょう。
採用や教育にかかるコストを考えると、早期離職はなるべく避けたいものです。
(3)会社全体の組織力が強化される
採用戦略を立てて人材の獲得を進めるには、採用担当者だけではなく企業全体で戦略や価値観の共有をすることが不可欠となります。
人材の採用や育成に対する社員の意識が高まり、組織力が強化されるのもメリットの一つといえます。
(4)無駄な採用コストを使わずに済むようになる
採用計画を立てずに採用活動をすると、自社の状況にあった採用手法を選択できず「コストをかけた割には成果が出ない」といった状況に陥る可能性があります。結果が出ないからと言って手法を都度変更してしまえば、さらにコストがかかって悪循環に陥ってしまうでしょう。
採用戦略を立てておけば、適切な採用手法を選択することができます。効果の検証もできるため、無駄なコストを使わずに済むでしょう。
3. 採用戦略を立案する流れについて
やみくもに採用戦略を立てても、期待する結果が得られる可能性は低いものです。そこで、具体的に採用戦略を立案する方法について順番にご紹介していきます。
(1)採用戦略立案の人員確保
採用戦略は採用担当者だけではなく、営業や生産など各部門の責任者や経営陣を含めて決定すべき問題です。誰がどの程度採用戦略に関わるのか明確にしておきましょう。
専門チームを発足するのも一つの手です。自社にリソースが足りない場合や、より効果的な採用戦略を立案したい場合には、採用コンサルティングの支援を受けるケースもあるでしょう。
(2)採用に関する現状分析
前提となる条件が変われば採用方法も大きく変更する必要があります。主に以下のような点について、「3C分析」や「SWOT分析」のようなフレームワークを用いながら、調査や分析を進めていきましょう。
- 求職者の動向
- 採用市場の動向
- 自社における過去の採用活動の結果
- 自社の採用課題
- 自社の魅力や弱点
- 競合他社の採用状況確認
(3)採用戦略の設計
現状分析の結果に基づいて、具体的な戦略設計をしていきます。
この段階で最も重要なのは「求める人材像」の設定です。採用段階での評価が主観的になることを防ぐことができ、ミスマッチの減少につながります。
事業計画や各部署における人材の状況を考慮して、人材像を設定していきましょう。業務に必要なスキルや学歴、職歴や価値観などを詳細に設定した「ペルソナ」を作成するのも有効です。
その他に、採用人数や採用職種などの「採用目標」についても決定していきます。
(4)採用施策の設計
どのような媒体を使って募集するのか、予算や採用のターゲットに合わせて適切な採用手法を決定していきます。
そのほかにも具体的な施策として、以下のような内容を決めておくとよいでしょう。
- 採用スケジュール
- 選考のフロー
- 説明会の内容
- インターンシップの設計
- 面接担当者
- 面接時の評価項目
- 内定者のフォロー体制
4. 採用戦略を実行する際のポイントや注意点

採用戦略を実行していくうえでは、どのような点に注意した方がよいのでしょうか。押さえておくべきポイントについて解説していきます。
(1)採用後の人事戦略と一貫性を持たせる
あくまで採用は、自社の業績に貢献する優秀な人材を確保するための手段の一つでしかありません。採用戦略を、入社後の人事戦略と連動させていくのは重要なポイントです。
たとえば自社内に入社後十分な育成ができる体制が整っているのであれば、採用時点では将来性に期待できる人材の獲得を中心に考えるべきです。一方、育成にコストがかけられない場合には、即戦力となる中途社員の採用をメインにした方が良い結果につながるでしょう。
(2)採用担当者の実務スキルを上げる
優れた戦略があっても施策を実行する担当者のスキルが不足している場合には、計画通りの運用ができない可能性があります。とくに採用担当者は雑務や社内外の関係者とのコミュニケーションなど、多くの業務を抱えているケースが多いでしょう。そうなると、常にスキルを高め、的確に戦略を実行に移せる体制を作り上げておかなければなりません。
また、選考フローの中でも最も重要なのが面接です。面接官には応募者が自社の定める要件に合っているかの見極めに加えて、自社の魅力をアピールして入社の動機付けをする役割もあります。近年では、オンラインでの面接も主流となってきているため、より専門的なスキルが必要でしょう。採用担当者は面接のスキルについても高めておく必要があるのです。
(3)採用戦略を社内全体で共有する
効果的に採用施策を実施するためには、自社内の各部署で連携が必要になります。
あらかじめ採用戦略は社内全体に共有し、共通認識を持っておくようにしましょう。
(4)人事のリソースを確認する
採用戦略を進めるにあたっては、人事担当者に十分なリソースがあることが理想です。戦略の実施に必要なリソースが確保できない場合には、一部の業務をアウトソーシングし、採用に直結するコア業務に集中して取り組むのも一つの手といえます。
(5)戦略の実行と改善はセットで考える
採用活動は長期戦です。綿密に採用計画を立てて実行に移したとしても、すぐに思った通りの結果が出るケースは稀でしょう。戦略が正しかったのかどうか、効果の検証をする動きは重要といえます。いわゆる「PDCAサイクル」を回しながら同じ失敗を繰り返さないよう、施策の実行と改善を繰り返していきましょう。
とくに技術や人材の状況が変わりやすいIT業界においては、効果的な手法といえます。
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