経理のアウトソーシングとは?対応業務やメリット・デメリットなど徹底解説

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経理のアウトソーシングとは?対応業務やメリット・デメリットなど徹底解説

経理のアウトソーシングとは?対応業務やメリット・デメリットなど徹底解説

「経理業務に追われ、重要な業務が後回しになっている」「新しい人材を採用する余力はない」といった課題を抱える企業は少なくないでしょう。

法定労働時間内に捌ききれない経理業務を、残業や家への仕事の持ち帰りで対応する方法もありますが、さまざまな側面で長期間継続するのは難しいものです。

本記事では経理業務の負担削減に役立つ「経理アウトソーシング」に関して、概要や対応業務、メリット・デメリット、費用相場などを解説します。本記事を参考にすることで、経理に関する種々の問題における解決の糸口を見つけられるはずです。

【この記事を読んでわかること】

・経理アウトソーシングで依頼できる業務範囲
・経理アウトソーシングのメリットデメリット
・依頼先の選び方

目次

1. 経理アウトソーシングとは?

経理アウトソーシングとは、企業における経理業務の一部、またはすべてを経理の専門知識を持つ外部の企業などに委託することです。

業務範囲は委託先の企業・事務所やプランによって異なります。給与計算だけを委託するケースもあれば、経理関連業務をまとめて委託する場合もあるでしょう。

経理業務を専門性の高い企業に委託することで、業務の効率化や社内のリソース削減が期待できます。

2. 経理アウトソーシングで委託できる業務

経理アウトソーシングとは、自社の経理業務の一部もしくはすべてを外部に委託することを指します。

経理業務は社会的に共通したルールがあり、比較的マニュアルに落とし込みやすいため、外部に委託しても円滑に遂行されやすいという特徴があります。そのため、アウトソーシングに適した業務だといえるでしょう。

それではまず、どのような経理業務を委託できるのか、5つほど例を挙げて紹介していきます。

2-1. 給与計算

人事・労務の担当となりがちな給与計算も、経理アウトソーシングで頼める業務のひとつです。

給与計算業務は、従業員一人ひとりの出退勤データを精査し、残業時間や保険料等を計算する業務です。アウトソーシングすることにより、正確かつ迅速な給与計算が実現するでしょう。

2-2. 記帳

記帳業務は、請求支払いや経費精算、固定資産の登録などの取引について、根拠資料をもとにして複式簿記により仕訳を行い、会計帳簿を作成していく業務です。

細かい処理で手間や時間がかかるため、アウトソーシングにより業務負担の軽減が期待できます。

2-3. 請求・支払い管理

日次や月次で発生する振り込みや請求書作成などの業務も、アウトソーシングが可能です。

会社によっては膨大な量になるケースもあり、コア業務を圧迫しやすい作業でもあります。社外への対応が必要な案件に処理漏れを発生させないためにも、正確に処理してもらえるアウトソーシングを活用するのが効果的でしょう。

2-4. 年末調整

毎月の給与計算に加えて、年末調整も経理アウトソーシングで依頼できます。年末調整とは、毎月の給与から源泉徴収した所得税を精算する業務です。

所得税をはじめ、住民税や社会保険などに関する最新の知識が求められるため、専門知識をもった外部機関へのアウトソーシングが効果的です。

2-5. 決算申告

決算書の作成と申告は、日々の経理業務の集大成ともいえる業務です。損益計算書と貸借対照表を作成し、納めるべき税額を確定させます。

期限が定められていることに加え、監査法人に指摘された箇所を修正するとか、社内各所に承認を得るなどをしなければならないため、かなり負担のかかる業務です。法人税の申告まで一貫してアウトソーシングできれば、担当者の負担は大きく軽減されるでしょう。

3. 経理アウトソーシングはどのような企業におすすすめなのか

経理アウトソーシングが適しているのは、次のような企業です。

  • 経理業務に人員を割けない企業
  • 次々変化する改定にスピーディーに対応できない企業
  • 経理業務の効率化と品質の高さを両立したい企業
  • 成長中の企業

それぞれの詳細について解説します。

3-1. 経理業務に人員を割けない企業

経理担当の人員が足りないものの、経理の人員を増やすのが難しい会社には、経理アウトソーシングがおすすめです。委託先の企業に経理業務を代行してもらえるため、その分のリソースが空き、コア業務などほかの業務に集中できます

従業員それぞれが兼務する業務の多い中小企業には、とくに適しているでしょう。経理を外部に委託していれば、急な欠員が出た際にも業務が滞る心配がないこともアウトソーシングの利点です。

3-2. 次々変化する改定にスピーディーに対応できない企業

日々改正されていく税法や制度への対応に困っている企業にも、経理アウトソーシングはおすすめです。税法や制度などは次々と変化しており、それに都度対応していくだけでも大きな負担がかかるものです。

近々では、インボイス制度や電子帳簿保存法の改正により、現在多くの企業がその対応に追われています。こうした改正には、スピーディーかつ正確に対応する必要があります。制度の要件を満たせなければ、訂正対応などに追われてしまい、会社の利益損失にもつながりかねません。

経理アウトソーシングの専門会社などに依頼すれば、プロが適切かつ迅速な処理をおこなってくれます。その結果、余計なタスクを減らし、コア業務に専念できるようになるでしょう。

出典:国税庁「インボイス制度の概要」
出典:国税庁「電子帳簿保存法の概要」

3-3. 経理業務の効率化と品質の高さを両立したい企業

経理業務を効率的にし、業務の品質向上を図りたい企業にも経理アウトソーシングはおすすめです。経理の仕事には、細かな業務がたくさんあります。膨大な仕事が溢れかえっている中で、一つひとつの業務を効率的に処理していくのはなかなか難しいものです。

また、多くの業務をこなす中では、ミスを起こしてしまったり、一つひとつの業務がおざなりになってしまったりすることも充分にあり得ます。

そうした非効率な業務やミスを減らし、業務の品質を高めたい企業に、経理アウトソーシングは適しています。アウトソーシングでは、経理に関するプロが、経理業務を効率的かつ確実に代行してくれます。

3-4. 成長中の企業

従業員が増加している企業や、新たな拠点を展開しようとしている成長中の企業もアウトソーシングを活用すると効果的です。従業員数や営業拠点が増えるほど経理業務も増え、複雑になっていきます。

今後の管理方法などについてアウトソーシング会社にアドバイスをもらえる場合もあるため、継続して成長している企業は早めにアウトソーシングを検討してみるとよいでしょう。

4. 経理アウトソーシングを依頼するメリット

これらの業務をアウトソーシングすることによって、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。5つを挙げて解説していきます。

4-1. コア業務に集中できる

経理業務には、投資や買収といった経営戦略の策定、予算進捗の分析や管理会計の見直しなどのコア業務が存在します。しかし、経費精算や仕訳入力などのルーティン業務にリソースを奪われてしまうと、コア業務にまで手をつけられなくなってしまいます。

そこで効果的なのがノンコア業務のアウトソーシングです。ルールさえ明確になっていれば誰がやっても問題のない業務をアウトソーシングすることで、社内の人材がコア業務に集中でき、業績向上のために取り組めるというメリットがあります。

4-2. コスト削減ができる

アウトソーシングには当然ながら費用がかかりますが、自社で経理担当の社員を雇用するよりは割安だと言えます。社員を雇うためには給料だけでなく社会保険料や福利厚生費、通勤費やパソコンなどの備品費といった様々なコストがかかります。繁忙期の処理が時間内に終わらなければ残業代もかさみます。

その点、アウトソーシングならば、月額制で固定料金が設定されている場合も多く、予算の管理も容易になるでしょう。

4-3. 経理業務の効率と品質向上が期待できる

経理アウトソーシングのサービスを提供している会社では、専門的な知識といくつもの会社の経理を代行してきた経験を誇るプロのスタッフが業務を担当します。そのため、経理的な知識の乏しい自社の社員が行うよりもはるかに速く、正確な処理が期待できます。

また、税制は法改正が頻繁なため、最新の知識を持ち合わせた専門のスタッフにアウトソーシングした方が安心だといえるでしょう。後々になって監査で指摘され、修正が発生するリスクも抑えることができるのです。

4-4. 属人化を防げる

細かな処理が求められる経理業務には、どうしても担当者の独自のルールなどが発生しやすく、その経理担当者でなければわからないことが増え、属人化してしまうという問題点があります。アウトソーシングを利用すれば、経理の体制がオープンになるため、こうした問題を防げるでしょう。

それと同時に、1人しか内情を把握していないことによって、発生する改ざんや横領などの不正を防げるというメリットもあります。

5. 経理アウトソーシングを依頼するデメリット

さまざまなメリットが期待できる経理アウトソーシングですが、少なからずデメリットも存在します。ここでは2つを挙げて解説します。

5-1. 自社の経理業務においてノウハウが蓄積できない

外部に経理業務を委託していると、どうしても社内に経理のノウハウが蓄積できないという懸念があります。末端の業務をアウトソーシングするとしても、処理されたデータは自社で理解し分析できなければなりません。

アウトソーシングサービスを提供する会社によっては、スタッフを派遣して経理担当者の育成を行っている会社もあるため、そういった会社を利用してもよいでしょう。

5-2. セキュリティ面に不安がある

アウトソーシングは自社の機密情報を社外に出すということでもあるため、少なからずセキュリティ面のリスクを抱えることになります。アウトソーシング先を選ぶ際は、セキュリティ体制がしっかり整った会社を選ぶことが大切です。

また、窓口となる自社の社員にもきちんと情報セキュリティについて教育しておく必要があるでしょう。

6. 経理アウトソーシングの依頼先

経理アウトソーシングの依頼先には、以下の2種類があります。

  • 税理士事務所・会計事務所
  • 経理アウトソーシング会社

それぞれには異なる特徴がありますので、委託先を選定する前に押さえておきましょう。

6-1. 税理士事務所・会計事務所

経理アウトソーシングの依頼先には、税理士事務所・会計事務所があります。「アウトソーシング」と聞くと民間の一般企業を想像されるかもしれませんが、税理士事務所や税理士が在籍している会計事務所でも、経理のアウトソーシングを請け負っています。

経理・税金のプロである税理士事務所、会計事務所なら、最新の税法を踏まえた経理処理を確実に代行してもらえます。年末調整や確定申告、決算書の作成や申告といった業務は、税理士にしかできません。税理士の在籍する税理士事務所・会計事務所なら、経理業務を丸ごと投げることも可能です。

ただし、依頼費用が高くなりがちな点はデメリットといえるでしょう。また、事務所によっては、代行する経理業務の範囲に制限を設けているところもあるため、その点にも注意が必要です。

6-2. 経理業務のアウトソーシングを行っている企業

経理業務のアウトソーシングを行っている企業においても、経理業務を代行してもらえます。専門性の高い知識を豊富に持ったスタッフが、経理業務を請け負ってくれます。会社ごとのニーズに合わせた対応をしてもらえ、業務範囲にもよりますが比較的安価から依頼可能です。

ただし、税理士の在籍していない会社では、決算申告や年末調整業務などは請け負ってもらえない点には注意が必要です。

7. パターン別|経理アウトソーシングの活用方法と費用相場

経理アウトソーシングには、次のようなさまざまな活用法があります。

  • 記帳代行のみを依頼する
  • 給与計算代行のみを依頼する
  • 決算代行を依頼する
  • 幅広い業務をパッケージで依頼する

それぞれの特徴と費用相場について解説していきます。

7-1. 記帳代行のみを依頼する

経理アウトソーシングを活用するうえでは、記録のみを代行してもらうのも1つの手です。記帳とは、日々の取引の中で発生した売上や支出、経費などを帳簿につけることを指します。複式帳簿により仕訳をし、会計帳簿の作成をおこないます。

記帳作業のみを経理アウトソーシングとして委託する場合の料金は、1仕訳ごとに単価が設定されている場合が多いようです。仕訳の相場は1仕訳50円〜100円であり、次のような様態で金額が上がっていきます。

  • 100仕訳:約10,000円
  • 200~300仕訳:約20,000円

取引が多くなればなるほど、それに比例して費用も大きくなります。

7-2. 給与計算代行のみを依頼する

経理アウトソーシングの業務の中から、給与計算代行のみを依頼する方法もあります。給与計算では、従業員一人ひとりの出退勤データをもとに、残業代や保険料、税金などを含めた月々の給与計算をおこないます。

残業時間の有無などから毎月の変動があり、従業員ごとに基本給や手当等が異なり、給与の計算には毎月細かな作業と膨大な時間を要するのが特徴的です。

給与計算業務を外部に委託することで、月次業務の負担を減らせます。場合によっては年末調整を依頼できることもあります。年末調整は、源泉徴収により天引きされた所得税の過不足を調整する作業であり、1年に1回行われる年次業務です。

給与計算業務の委託における費用相場は、従業員1人分の給与計算に対して、単純な給与計算のみで月1,000円〜2,000円ほどです。以下は、従業員数の規模別の大まかな金額目安です。

費用相場(目安)
従業員数月額
10人15,000円~20,000円
50人40,000円~60,000円
100人80,000円~100,000円

年末調整も依頼する場合は、従業員1人あたり500円〜2,000円ほどが相場となります。

7-3. 決算代行を依頼する

経理アウトソーシングの業務の中から、決算代行のみを依頼する方法もあります。決算代行では、決算書の作成や法人税の申告を外部に委託します。記帳から申告までを一括しておこなってもらうのが一般的です。

決算業務をアウトソーシングすることで、時間に余裕が生まれるとともに、ミスが減り適正な決算・申告が叶います。

「決算書の作成のみ」「納税額を計算し申告するまで」など、請負範囲によって費用相場は異なります。費用相場のレンジは幅広く、5万円〜20万円ほどです。会計士や税理士など専門家に依頼する場合の費用相場は、15万円〜25万円です。賠償資産申告や法定調書などの対応も加われば、さらに10万円〜20万円ほどかかってきます。

7-4. 幅広い業務をパッケージで依頼する

幅広い業務をパッケージで依頼するのも1つの手です。経理アウトソーシングを請け負っている会社では、記帳代行から給与計算、請求・支払い業務、経費精算など基本的な業務をパッケージ化しているところもあります。

パッケージ型では、一定範囲の経理業務を丸投げし、月額で所定の費用を支払います。一つひとつの業務を上乗せする形で依頼するより、パッケージ化されたプランを選ぶ方が安価になるケースが多いです。

費用相場は、対象企業の規模や業務範囲によって大きく異なります。いくつかのプランに分かれていることが多く、最も安いプランで月額35,000円ほどの金額が一般的でしょう。長期契約することで月々の費用が安くなるところが多いようです。

パッケージ内容、費用、オプションなどは、アウトソーシング会社によって実にさまざまなので、自社のニーズに合わせてよく比較検討することが大事です。

8. 自社にマッチした経理アウトソーシングの選び方

自社に適した経理アウトソーシングを選ぶうえでは、以下のような観点に着目するのがおすすめです。

  • 発注方法
  • 対応可能な業務範囲
  • 税理士在籍の有無
  • 費用対効果

それぞれの詳細について解説します。

8-1. 発注方法

自社に適した委託先を選定するうえでは、目的に応じて発注方法を使い分けることが大切です。経理のアウトソーシングの契約形態には、「スポット型」と「常駐型」があります。スポット型とは、経理業務の一部を発注できる経理アウトソーシングです。その名のとおりスポットの発注に強く、費用は安くなります。

経理業務のマニュアルさえあれば、経理業務の一部またはすべてを委託可能です。スポット型は、ノンコア業務にかかる負担を削減し、コア業務に専念したい企業、繁忙期に利用したい企業などにおすすめです。

常駐型とは、自社に外部の経理担当者を常駐させ、業務をおこなってもらう経理アウトソーシングです。急な欠員対応や業務量が多いときに利用するのに適しています。自社の社員とコミュニケーションを取りながら業務をおこなうため、突発的な経理業務にも対応できるのが常駐型の利点です。

自社システムを利用して作業にあたるため、セキュリティの面でも安心感が高いというメリットもあります。スポット型と常駐型を、自社のニーズやコストに合わせて使い分けるとよいでしょう。

8-2. 対応可能な業務範囲

対応できる業務の範囲を確認することも、経理のアウトソーシング先を決めるうえで重要です。経理を外部委託する場合、委託先の対応範囲がどの程度か、委託内容が自社のニーズに合っているかの確認が必要です。

どれほど対応業務の範囲が広くても、自社が必要としている業務の代行をしてもらえないと、委託する意味がありません。まずは、経理業務を外部委託する目的を明らかにし、どの業務を委託するのかをはっきりと決定しましょう。

そのうえで、自社に適したアウトソーシング会社を選定することが大事です。

8-3. 税理士在籍の有無

税理士が在籍しているかどうかを確認することも、経理アウトソーシングの選定において重要です。経理のアウトソーシングは、税理士など有資格者の有無によって対応の範囲も変わってきます。

先述したとおり、決算書・税務申告書の作成や、申告代行は税理士の専任業務となっており、税理士以外には委託できません。そのため、これらの業務を委託する際には、税理士が在籍しているか否かは、必ず確認すべきポイントとなります。

税理士が在籍している経理アウトソーシング会社なら、万が一トラブルがあった際や調査・監査などが入った場合にも、専門家の知識があるためスムーズに対応できるというメリットもあります。

ただし、税理士が在籍している経理アウトソーシングは、コストが高くなりがちな点はデメリットでしょう。

8-4. 費用対効果

経理アウトソーシングの選定先を決めるうえでは、費用対効果で選ぶのも1つの手です。委託先の選定時に費用は重要なポイントとなりますが、ただ安さだけに注目するのはおすすめしません。

費用が安いアウトソーシングは、資格を持っていない者が業務をおこなうことで人件費を安く抑えているケースもあるためです。専門性に乏しい者の作業ではミスや勘違いなどが起きやすく、時に重大な損失を与えることもあるでしょう。

また、料金を安く設定している業者は、対応範囲が限られてしまっている場合も少なくありません。業者のWebサイトでは一見対応業務が多いように見えても、「アフターフォローが十分でない」「柔軟な対応をしてもらえない」といったこともあり得ます。

安さだけにとらわれ、上記のような業者に委託してしまうと、思わぬトラブルにつながってしまう可能性があります。その結果、時間も費用も無駄にしてしまうかもしれません。

アウトソーシング先を選ぶ際には、費用の安さだけでなく、費やしたコストに対してどれだけの効果があるのかも意識することが重要です。

9. 経理アウトソーシングを上手に活用するためのポイント

経理アウトソーシングを最大限に活用するには、以下のようなポイントを意識しましょう。

  • 担当者とのコミュニケーションを密にとる
  • どの業務をどこまで依頼するか事前に細かく打ち合わせる

これらの点を意識することで、失敗を避けられ、自社が望むような成果を得やすくなります。

9-1. 担当者とのコミュニケーションを密にとる

経理アウトソーシングを効果的に活用するには、委託先の担当者と密にコミュニケーションをとることが重要です。

何かあった際にすぐに連絡が取れる関係性を築くことはもちろん、定期的なコミュニケーションの場を設け、積極的な対話をおこなっていくことが大切です。

その手段の1つとして、委託先と業務対応状況を共有・可視化できるシートを作成し、オンライン上でのやり取りが常にできるようにするのがおすすめです。

また、担当者が迅速かつ柔軟な対応をしてくれるかも、重視しましょう。

レスポンスが遅く話がなかなか前に進まない場合、経理アウトソーシングの進行が遅れてしまうリスクがあります。万が一トラブルになった際にも、すぐに解決ができず、問題が長期化してしまう可能性もあります。

経理アウトソーシングを委託する際には、担当者と密なコミュニケーションを積極的にとり、対応の品質にも目を向けるとよいでしょう。

9-2. どの業務をどこまで依頼するか事前に細かく打ち合わせる

アウトソーシングをお願いする業務範囲を明確化し、事前に綿密な打ち合わせをおこなっておくことも重要なポイントです。

企業によって、どの業務をどこまで外部に委託したいかは異なるでしょう。次のような点を依頼前にしっかりと明確化することが大切です。

  • 経理業務を丸ごと依頼したいのか
  • ノンコア業務のみを委託したいのか

また、依頼時には、委託先に以下の点を確認し共通認識を持っておくことも大切です。

  • 時期などの変動要素によって依頼したい業務の範囲が変わるのか
  • その範囲はどこからどこまでなのか

お互いの認識に齟齬がある場合、いざ走り出してから、「そんなことはできない」「聞いていない」「知らなかった」といったトラブルにつながることがあります。そうした事態を未然に防ぐため、依頼内容はしっかりと固めましょう。

その際には、どの業務にどれだけ費用がかかるかということを細かく計算しておくことも大事です。金額が曖昧な状態で依頼すると、後から不測のオプション費用が発生した際に、予算の都合で必要な業務を依頼できなくなる可能性もあります。

依頼した内容は、いつでも振り返られるように記録・整理をしておくことも忘れないようにしましょう。万が一トラブルが発生した際に、事実をベースに対応をすることでスムーズに解決ができるはずです。

9-3. アウトソーシングを依頼する業務の優先順位を明確にする

依頼する業務内容の優先順位付けも、経理アウトソーシングの大切なポイントです。

経理業務を外部に委託する目的を明確にし、業務の中でもとくに負担がかかっているもの、負担の少ないものを整理しましょう。それに沿って依頼の優先順位付けをすることで、費用対効果の高いアウトソーシングが期待できます。

優先順位をつけておけば、コストが思いのほかかかってしまいそうな際などに、重点的に依頼すべき業務を適切に選定できるはずです。また、自社でできそうな業務が何かも明確になり、不要な依頼(コスト)の削減にもつながるでしょう。

9-4. マニュアルを作成する

経理アウトソーシングをするうえでは、経理業務のマニュアルを作成することも大切なポイントです。マニュアルを作成することで、業務の効率化が図れ、担当者が抜けた際などでも業務のクオリティを保てます。

マニュアルを作成する際には、業務をこまかく洗い出すようにしましょう。また、それぞれの業務目的を明確にすること、個だけでなく全体像を把握できるよう整理することも大切です。

それにより、無駄な作業や一つひとつの業務にどれだけの手間がかかるのかを可視化でき、各課題の解決策を講じられるようになります。その結果、業務効率の向上が期待できます。

マニュアルを作成することで、そのほかにも以下のようなメリットを得られるでしょう。

  • 業務に関する認識の齟齬を防げる
  • 迅速な業務処理、対応が可能となる
  • 業務の属人化やミスを防げる

マニュアルがなければ、一つひとつの業務の確認や承認に時間がかかってしまい、業務効率が悪くなる可能性もあります。

依頼前にマニュアル作成の有無についても確認しておくとよいでしょう。委託した際には、委託先企業でマニュアルを作成するケースが多いです。マニュアル作成は、クライアント企業の経理業務の全体像や問題の洗い出しに役立つためです。

委託先企業がマニュアル作成に対応していない場合には、自社でしっかりとマニュアルを賄うことが大切です。

10. まとめ

経理アウトソーシングでは、給与計算や記帳、請求支払い管理などの経理業務を委託できます。外部企業に代行してもらうことで、コア業務へのリソース集中やコスト削減、経理業務の効率・品質向上が期待されます。

委託先を選定する際には、自社の業務状況・内容を整理し、どの発注方法が適しているのかやどの業務を優先的に委託すべきなのかを検討しましょう。それにより、費用対効果が高く依頼できたり、既存業務の業務効率化につながったりするはずです。

本記事を参考にぜひ経理アウトソーシングを取り入れてみてください。

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