ナレッジマネジメントの意味や手法、注意点について解説

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ナレッジマネジメントの意味や手法、注意点について解説

ナレッジマネジメントの意味や手法、注意点について解説

企業のあり方が変化し、「転職」が一般的になりつつある現代においては、従来のように時間をかけてベテラン社員のノウハウを後進へ引き継ぐ余裕をもてないケースが増えてきています。このような組織においては、『ナレッジマネジメント』を活用して効率的に従業員のノウハウを共有する仕組みづくりが効果的です。

そこで今回は、ナレッジマネジメントの意味や手法、実施時の注意点などについてわかりやすく解説してまいります。

1. ナレッジマネジメントとは何か

ナレッジマネジメントとは、社員が個々に所有しているスキルを組織内で共有・融合させることによって、新たな変革を促進して生産性を高めるためのマネジメント手法です。

ナレッジマネジメントの基礎となっているのは一橋大学の名誉教授である野中氏が提案した「知識経営」という考え方であり、社員が持つ「暗黙知」を「形式知」に変換していくことが重要であるとされています。それでは「暗黙知」と「形式知」とは何なのか、詳しく見ていきましょう。

1-1. 暗黙知とは

ナレッジマネジメントにおいて、知識とは「暗黙知」と「形式知」の2種類にわかれると考えられています。その1つである「暗黙知」とは、社員一人ひとりが業務に従事する上で蓄積してきた知識やスキル、ノウハウなどのことを指しています。

暗黙知は言葉のとおり「暗黙の知識」であることから、明文化されていないものです。「あらためて文章や音声で表現しなければ、組織内のほかの社員に共有されにくい」という特徴があるのです。

1-2. 形式知とは

形式知は、暗黙知とは異なり「文章や音声で明確な形として表現されている知識」のことです。文章で作成したマニュアルや音声データなどが、形式知の一例として挙げられます。ナレッジマネジメントにおいては、社員一人ひとりが所有している暗黙知を音声や文章によって形式知に変換し、組織内で共有することが重要です。

2. なぜナレッジマネジメントが浸透してきたのか

なぜナレッジマネジメントが浸透してきたのか

そんなナレッジマネジメントが浸透し始めている背景には、冒頭でも書いた通り企業の組織体系が変化してきたことが挙げられます。

従来の日本においては、ベテランの社員が所有している暗黙知を次世代の社員に直接的に継承していく文化をもつ企業が数多く存在していました。しかし、このような手法は知識・技術の継承に膨大な時間を必要とします。終身雇用制度が当たり前ではなくなり、比較的短期間で社員が現場を離れてしまうケースも多い現代においては、効果的な継承方法とはいえなくなってきたのです。

そのため、組織全体で「ナレッジ」と呼ばれる知識や技術を共有し、短期間でより多くの「暗黙知」を継承する仕組みが求められるようになってきたのです。そういった背景が、ナレッジマネジメントが浸透しつつある理由といえるでしょう。

3. ナレッジマネジメントの手法の種類

ひとくちにナレッジマネジメントといっても、代表的な手法には4種類あります。それぞれの手法について詳しく見ていきましょう。

3-1. 経営資本・戦略策定型

経営資本・戦略策定型とは、組織全体がもつ知識をさまざまな角度から経営戦略に反映させる手法のことです。経営資本・戦略策定型においては、自社だけでなく競合他社についても詳しく分析を行い、最終的な戦略を決定していくケースが多いといえます。

自社と他社を比較したうえで社内の業務プロセスの洗い出しを行い、改善につなげることによって、業務効率の改善をはかることができます。

3-2. ベストプラクティス共有型

ベストプラクティス共有型は、組織のなかで特に優秀な成績を上げている社員の考え方や行動パターンを形式知に変換して、組織内で共有していく手法です。成果を出している社員の思考や行動を共有できるため、組織全体のスキル向上が期待できます。

例えば、営業なら「受注を獲得するまでの商談のプロセス」や、「顧客とコミュニケーションをはかる際の考え方」などを形式知にすることで、組織内のスキルの平準化をはかれます。

3-3. 顧客知識共有型

顧客知識共有型は、「顧客最優先」を掲げた手法です。組織内の業務に関する知識だけでなく、業務プロセスも含めた総合的な知識を共有し、顧客に対して将来的な利益を見据えた知識を提供するためのナレッジマネジメントが特徴です。

顧客から集めた意見や、届いたクレーム、応対内容などをデータ化しておくことにより、次回以降同じトラブルが起こったときにスムーズに対応しやすくなります。組織内で意識共有ができることからコールセンター業務などでオペレーターによる対応の差が小さくなり、顧客満足度の向上を図れるというメリットがあります。

3-4. 専門知識型

専門知識型は、組織内外の専門知識をデータベースにまとめてスムーズに情報提供するための手法です。
例えば、自社のサービスを利用するうえで利用者から頻繁に問い合わせがある質問を『FAQ』としてまとめると、利用者からの疑問に素早く答えられるため顧客満足度が向上するだけでなく、応対にあたる社員の負担軽減にも役立ちます。

4. ナレッジマネジメントを行う方法

ナレッジマネジメントを行う方法には、Excelを利用する方法やITシステムを導入する方法などがあります。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

4-1. Excelを利用する

Microsoft社が提供しているExcelは、比較的多くの企業に導入されていることから「とりあえずナレッジマネジメントを始めてみたい」という場合に便利です。基本的な操作方法を理解している社員も多くナレッジの入力も容易なので、研修等を大々的に開催せずに取り組める点も大きいといえます。

しかし、登録したナレッジを検索するたびにExcelを開かなければならず、共同編集する際に上書き保存してしまうリスクがあるなどのデメリットもあります。本格的にナレッジマネジメントを運用するなら、次項でご紹介するITシステムの導入がおすすめです。

4-2. ITシステムを導入する

本格的にナレッジマネジメントの運用を考えているのであれば、ITシステムを導入すると管理が手軽でデータ分析も行いやすくなるでしょう。

どのようなITシステムを導入すべきなのかは組織の体制や目的によっても異なりますが、「社内SNS」や「データベース型ファイルサーバー」などが一例として挙げられます。また、ナレッジマネジメントを行うために便利な複数の機能を搭載した「ナレッジマネジメント専用ツール」も数多くの事業者から提供されています。

5. ナレッジマネジメントを導入する際の注意点

ナレッジマネジメントを導入する際の注意点

ナレッジマネジメントを導入する際は、次の3つのポイントに注意することでスムーズな運用が可能になります。

5-1. 現場がスムーズに運用するための体制を整える

ナレッジマネジメントを運用するのはあくまでも現場の社員ですので、運用を開始する前に社員がナレッジの登録・共有をスムーズに行える体制を整えることが必要不可欠です。

例えば、ITツールを導入したとしても操作性が低く使いにくかったり、使い方がわかりにくかったりすると社内に浸透せずに運用が滞ってしまうリスクがあります。現場が扱いやすいシステムや体制を整備することで、運用が滞るリスクを下げられます。

また、社員がナレッジマネジメントの重要性を理解していないと、現場の反発に遭ってしまい運用自体をしてもらえない可能性もあります。「なぜナレッジマネジメントが必要なのか」を十分に説明したうえで、現場の理解を得ることも重要です。

5-2. ナレッジを手軽に共有できる仕組みづくりを行う

ナレッジを手軽に共有できる仕組みづくりも、ナレッジマネジメントにおいては大切です。ナレッジの共有は日々の業務の合間に行われるため、登録に時間がかかったり検索しにくかったりすると対応が後回しになってしまい、最終的にはナレッジマネジメント自体が形骸化してしまう恐れがあります。

自社の目的に合ったITシステムの導入などを通じて、空いた時間に手早くナレッジの共有を行える仕組みを構築することがポイントになってくるでしょう。

5-3. マニュアルに依存しすぎない

ナレッジマネジメントを進めていくと、社内の業務プロセスの多くをマニュアル化できるようになってきます。しかし業務の遂行をマニュアルに頼りすぎると、社員が自ら考えて行動に移す機会が減少し、モチベーションの低下を招いてしまう可能性があります。

マニュアル化による業務効率化をはかりながらも、社員が自分で考えて行動する力を養うマネジメントを意識しておくことが大切です。

6. ナレッジマネジメントならパーソルワークスデザインへ

もし御社でナレッジマネジメントを導入したいとお考えでしたら、ぜひパーソルワークスデザインにご相談ください。

コンタクトセンターの運営課題を解決することを目的としたナレッジマネジメント手法として『KCS』があります。パーソルワークスデザインではこのKCSを取り入れ、2018年10月に国内初の認定(KCSアワード)を取得するなど、国内におけるKCSの先進活用企業として業界をリードしています。

KCSについての研修から、導入・運用サポートKCSアワード認定取得支援まで、お客さまのニーズに合わせたサービスをご提供いたします。また、弊社のサポートセンターでは、実際にKCS運用を行っています。実際に運用しているからこそ、より現場に即した豊富な知見を提供することができています。

詳細につきましては、下記の「KCSのコンサルテーションサービス」のページをご確認のうえ、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

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