コールセンター業界の課題は?現場が直面する4つの大きな問題と対策を解説

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コールセンター業界の課題は?現場が直面する4つの大きな問題と対策を解説

コールセンター業界の課題は?現場が直面する4つの大きな問題と対策を解説

コールセンター業界の課題は?現場が直面する4つの大きな問題と対策を解説

企業の顔として顧客対応の最前線に立つのが“コールセンター”です。さまざまな難しい問い合わせがありながらも、顧客満足度の向上を目指して日々運営が行われています。

しかし、そんなコールセンターでは、それぞれの現場で数多くの課題を抱えており、そのなかには、“何十年も前から指摘され続けている課題”もあるのです。

そしてその課題は、コールセンターで長く働いている方や管理職をしている方であればピンとくるかもしれませんが、どれも一筋縄ではいかない難しいものばかりです。

そこで本記事では、コールセンター業界や各現場が直面する課題とその対応策について解説していきます。

「コールセンター業界の課題を再確認したい」「自社が抱える問題を改善する方法が知りたい」という方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

1. コールセンター業界にのしかかる4つの大きな課題とは?

コールセンター業界にのしかかる大きな課題として、以下の4つが挙げられます。

  1. 慢性的な人員不足
  2. 離職率の高さ
  3. 在宅勤務へのシフト
  4. 自然災害への対策

それぞれどのような課題なのか、詳しく解説しましょう。

課題(1)慢性的な人員不足

コールセンター業界の大きな課題のひとつとして、慢性的な人員不足が挙げられます。

『コールセンター白書2022』によると、「オペレーターの採用状況」について聞いたアンケートでは、34.8%(回答数n=161)のコールセンターが「全拠点でかなり厳しい」と回答しています。

※出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2022』/株式会社リックテレコム/東京/2022.10.31/P62

2021年の同項目における数値が10.2%(回答数n=177)だったことを考えると、急激に悪化している状況です。悪化の背景として考えられるのが、新型コロナウイルスに対する規制緩和での雇用環境の変化です。

2021年当時、新型コロナウイルスの影響により休業が相次いだサービス業や観光業から、コールセンター業界へ一時的に人材が流入していました。しかし、さまざまな面で規制が緩和傾向に動いたことで、突発的な人材流入がストップしたと考えられます。

『ウィズコロナ』の時代に入ったいま、今後さらに“コールセンター業界を取り巻く人員不足の問題は加速する”と予想されています。

課題(2)離職率の高さ

コールセンター業界は他の職種と比べて、その離職率の高さが問題視されています。

離職理由は人によって異なりますが、業務からくる精神的なストレスが原因となっているケースが非常に多くあります。

コールセンターから異職種へ転職した150人を対象に取ったアンケートでは、「コールセンターの離職理由」は以下の結果となっています。

1位:ストレスが多い……52人
2位:キャリアチェンジのため……18人
3位:成長につながりにくい……12人
4位:身体的につらい……9人
5位:収入アップのため……8人
6位:人間関係の不満……7人
同6位:ノルマがきつい……7人
同6位:引っ越しのため……7人

※参考:株式会社ビズヒッツ『【コールセンターから異職種への転職理由ランキング】経験者150人アンケート調査』

また、特に離職する可能性が高いとされる新人オペレーターについて、過去一年以内に採用した人材の離職率を聞いたアンケートでは、33%(回答数n=147)となっており、新人オペレーターから多数の離職者が出ていることがわかりました。

※出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2022』/株式会社リックテレコム/東京/2022.10.31/P64

これらのデータから、コールセンターは精神的なストレスが原因で離職する人材が多く、長期勤務につながらないケースが常態化しているといえるのです。

課題(3)在宅勤務へのシフト

出社勤務から在宅勤務へのシフトについても、コールセンター業界が抱える大きな課題のひとつです。

新型コロナウイルスの影響により、さまざまな業界・業種で在宅勤務への流れが加速しました。

『コールセンター白書2022』のデータによると、コールセンターの在宅運用について「在宅運用が可能」と回答した企業が56%(回答数n=191)と過半数を超える状況ではあるものの、実際の運用について聞いたところ、全体の48%(回答数n=193)で「運用していない」と回答しています。

※出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2022』/株式会社リックテレコム/東京/2022.10.31/P10

もちろん、コールセンター業界でも在宅勤務へのシフトを図ろうと試みましたが、「エスカレーション対応が難しくなる」「セキュリティに不安がある」「スタッフ間のコミュニケーションが減少する」など、数多くの課題にぶつかってしまい、なかなか全面的なシフトができていないのが現状です。

課題(4)自然災害への対策

2011年に発生した東日本大震災を契機に議論されはじめたのが、自然災害への対策です。

自然災害はいつどこで発生するかわかりません。そのため、災害によって何らかの影響が発生したとしても、継続的に事業活動を行える体制づくりが急務となっています。

コールセンター業界でも、対策のひとつとして複数のサイト(拠点)を設けるという策を講じている企業があるものの、その進捗状況は良いとはいえません。

実際、『コールセンター白書2022』によれば、アンケートに回答した企業の保有するサイト(拠点)数で最も多かったのは、「1カ所」で34%(回答数n=201)でした。

※出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2022』/株式会社リックテレコム/東京/2022.10.31/P49

このデータからも分かるように、コールセンター業界全体を通してみると、まだまだ自然災害に対する備えが足りていない状況だといえます。

2. コールセンターの現場における4つの課題とは?

コールセンターの現場における4つの課題とは?

コールセンター業界の課題を見てきましたが、では現場ではどうでしょうか。コールセンターの現場で見られる課題としては、以下の4つが挙げられます。

  1. 長期的な人材育成ができない
  2. 応対品質に差が出てしまう
  3. 業務効率の改善が難しい
  4. 営業時間外の対応ができない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

課題(1)長期的な人材育成ができない

コールセンターの現場で発生している課題のひとつに、長期的な人材育成ができないというものがあります。

その理由としては、前述した「離職率の高さ」が大きく関係しています。

コールセンターでは、商品・サービスに関する専門知識だけでなく、正しい敬語の使い方など、応対スキル面でのレクチャーも受けます。しかし、座学の研修をしただけでは一人前のオペレーターとはいえず、あとは実践のなかでスキルを磨いていかなければなりません

ところが、多くのオペレーターが短い期間で離職する環境でもあるため、長期的な人材育成が困難な状態となっているのです。

課題(2)応対品質に差が出てしまう

各オペレーターのスキルによって応対品質に差が発生する状態も、コールセンターの現場における大きな課題です。

応対品質を保つ、または向上させるためには、すべてのオペレーターが同水準のスキルを持ち、バラつきが発生しない状態にすることが適切です。

しかし実際には、個人間でスキルに大きな差があるケースも多く、それが原因で顧客満足度の低下などを引き起こしています。

課題(3)業務効率の改善が難しい

コールセンターの現場では、業務効率の改善を目指した取り組みが数多く行われています。しかしながら、目に見えるほどの効果が出ていないのが実情です。

その原因として考えられるのが、「履歴入力などの後処理に時間が掛かっている」「時間帯に応じたオペレーターの配置が適切ではない」「対応時間が超過している」など、システムや人的リソースの活用が上手くできていない点が挙げられます。

適切な運営ができていなければ人件費などのコストも多く掛かりますし、業務過多に陥りオペレーターの負担も増加します。その結果としてオペレーターが離職する原因になるなど、“悪循環”となっているのが現状だといえます。

課題(4)営業時間外の対応ができない

有人コールセンターの多くは営業時間を設けており、24時間・365日営業を行っている窓口はとても限定的です。

営業時間内に問い合わせるのが難しい顧客もいるため、対応ができずにいると、せっかくできた顧客との接点を喪失してしまうことになります。

慢性的な人員不足や人件費などのコスト増を考慮しつつも、顧客の要望に沿った取り組みの導入が求められているのです。

3. コールセンターが抱える課題への対策とは?

コールセンターが抱える課題への対策とは?

ここまでコールセンター業界や現場が抱える課題について解説してきました。では、それらに対応する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは5つの対策についてご紹介していきます。

対策(1)人材派遣会社の活用

慢性的な人員不足への対策として人材派遣会社を活用する方法があります。

人材派遣会社の活用は、「自社の求めるスキルを持った人材を紹介してくれる」「自社のみで求人を行った場合と比べ、効率的に人材を確保できるようになる」など、慢性的な人員不足に悩むコールセンターにとってはメリットが多いです。

その他にも、コールセンターには繁忙期が年に数回あるため、特定の時期限定でオペレーターを増員しなければならないタイミングがあります。その際も、人材派遣会社に依頼することで、短期雇用の人員をすぐに確保することができます。

対策(2)アウトソーシング企業に依頼する

人員の確保や早期離職者への対応が難しいという場合には、コールセンターの業務自体をアウトソーシング企業に委託する方法もあります。

コールセンターのアウトソーシング企業はコールセンター運用のプロですから、これまでに培った数多くのノウハウを保有しています。そのため、応対品質などのバラつきも発生しづらく、高品質で安定したサービスの提供が可能です。

委託する業務の範囲も選択できるため、コールセンター運用のすべて、または一部のみ任せるなど、自社の状況に応じた柔軟な組織作りができるでしょう。

対策(3)コールセンターシステムの導入

業務効率を改善させる方法として有効なのが、コールセンターシステムを導入することです。

コールセンターシステムには、顧客からの入電に対して自動音声で対応してくれるIVR(自動音声応答)、顧客情報や応対履歴を蓄積できるCRMなど、業務を円滑に進めるうえでなくてはならないものが数多くあります。

さらにコールセンターの現場における課題である、「業務時間外の対応ができない」という点に関しても、IVRの導入によって簡単な問い合わせであれば自動音声のみで対応が完結します。有人対応ではありませんが、顧客との接点を失わずに済むことは大きなメリットだといえるでしょう。

また、これまで人間が行ってきた業務をシステムに任せられるようになるため、オペレーターに掛かる業務負担も軽減されます。業務ストレスが減ることから、オペレーターの離職率低下の効果も期待できるでしょう。

ただし、コールセンターシステムにはオプションを含めさまざまな種類があるため、自社に必要なシステムがどういったものなのか、事前に確認しておくことが重要です。

対策(4)マニュアルやFAQを整備

応対品質や業務効率の向上には、オペレーター向けのマニュアルやFAQの整備が必要不可欠です。

「マニュアルやFAQの情報が古い」「内容が足りない」などの理由から顧客に誤った案内をすると、大きなクレームに発展してしまう恐れがあります。そのため、ナレッジ作成の担当者には、定期的な見直しと修正を実施することが求められます。

また、マニュアルやFAQなどのナレッジは、新人オペレーターであっても「記載通りに説明することで、基本的な顧客対応ができる」ように設計されています。そのことから、ナレッジの作り込みがしっかりしていれば、極端な応対品質の差は発生しません。

これらナレッジを作成または修正する際は、担当者が一人で行うのではなく、管理者やオペレーターなど、複数の人物に確認してもらうようにしましょう。そうすることで、より精度の高いナレッジが作成できるはずです。

対策(5)BCP対策を講じる

地震や台風といった自然災害などの緊急事態時に、事業活動を継続して行えるよう事前に計画を立てておくことを『BCP対策』といいます。

コールセンターができるBCP対策の例として、「複数のサイト(拠点)を配置しておく」「メールやチャットなどの音声を用いないチャネルを活用したノンボイス化の推進」「在宅勤務へのシフト」などが挙げられます。

これらの対策は自然災害時のみならず、新型コロナウイルスのように、急激な拡大が予想される感染症への予防としても効果的です。

BCP対策の一つにもなる「在宅勤務」への全面的なシフトには、超えなければならない壁があります。それらの課題をいかにクリアできるかが、コールセンターにおけるBCP対策の広がりにも直結していくことでしょう。

※「BCP(事業継続計画)」について詳細を知りたい方は下記のコラムも併せてご参照ください
BCP(事業継続計画)とは?ウィズコロナ時代を乗り切るためのBCP対策のポイント

4. コールセンターの課題を解決するメリットとは

課題への対策を説明してきましたが、ではコールセンターにおける課題を解決すると状況はどのように変化するのでしょうか。続いては、課題を解決するメリットについて3つを挙げて解説します。

メリット(1)オペレーターの負担を軽減できる

コールセンターに存在する課題を解決できれば、オペレーターの負担を軽減することにつながります。

十分な人員を確保できていれば過度な業務量をこなす必要はありませんし、システムによる作業の効率化によって、不要な業務に時間を割くこともなくなります。

オペレーターに掛かる負担の軽減は離職率の低下にもつながりますので、最優先で検討すべき事項といえるでしょう。

メリット(2)業務効率が改善する

仮に、コールセンターシステムの導入や専門知識・ノウハウを持ったアウトソーシング企業を活用した場合、これまで以上に業務効率が向上するはずです。

また、今まで有人で行ってきた業務をシステムに任せられれば、ほかの業務に集中できるようになりますので、ミスなどの発生も少なくなるでしょう。

メリット(3)顧客満足度の向上が期待できる

業務効率の改善や応対品質の差が少なくなれば、おのずと顧客満足度の向上につながっていきます。

顧客が望む対応は人それぞれです。しかし、「できるだけ時間をかけず適切な対応をしてほしい」という気持ちは共通しています。

顧客満足度は企業イメージにも直結するため、コールセンターの対応ひとつで、顧客が企業へ抱く印象は変化することを認識しておきましょう。

5. コールセンターのアウトソーシングならパーソルワークスデザインへ

課題として挙げてきた通り、コールセンター業務は、商品知識はもちろんのこと、コミュニケーション力や問題解決など、幅広い能力が求められます。そして、効率的なコールセンター運営のためにも、オペレーターの育成は必要不可欠といえるでしょう。

しかし、「コールセンター業務を自社ですべて進めていくのが難しい」という場合には、『対策』でも取りあげたように、アウトソーシングの活用も検討してみると良いでしょう。ベストな委託先に任せられれば、質の高いコールセンター業務を実施しながらも、自社のリソースをコア業務に集中させることが可能になります。

もし「コールセンターのアウトソース先をどう選べば良いか分からない」という場合には、下記のホワイトペーパーを参考にしてみてください。
コールセンターアウトソースの委託先選定ポイント

また、もしコールセンターのアウトソーシング先をお探しであれば、ぜひパーソルワークスデザインにお任せ下さい。パーソルワークスデザインのコールセンターでは、日々の問い合わせ傾向から公開FAQを作成・公開し、ユーザーの自己解決率を上昇させることで顧客満足度の向上を実現しています。

さらに、パーソルグループならではの「人材ノウハウ」を通じて、豊富な研修をオペレーターに行い、高い応対品質を実現することが可能になっています。

コールセンターのアウトソーシングに関するサービス詳細につきましては、下記のページからご確認くださいませ
パーソルワークスデザインのヘルプデスク/コールセンターサービス一覧

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