特定保健指導を受けない理由は?「しつこい」「面倒くさい」と感じられない方法を解説

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特定保健指導を受けない理由は?「しつこい」「面倒くさい」と感じられない方法を解説

特定保健指導を受けない理由は?「しつこい」「面倒くさい」と感じられない方法を解説

生活習慣病のリスクがある人に生活改善を促すための特定保健指導
実施率が低いと健康保険組合などの保険者にペナルティが課される場合があるため、実施率を上げる取り組みに力を入れている保険者も多いことでしょう。

しかし、特定保健指導を勧めてもあまり積極的に受けたがらない人もいます。健康のために受けてもらいたいものの、なかなか参加してもらえず勧めかたに悩んでいる担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、「しつこい」などと感じられないように特定保健指導を推進していくための方法についてご紹介します。

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1. 「しつこい」と思われがちな『特定保健指導』とは

特定保健指導とは、2008年から厚生労働省が実施する“国民の一次予防施策”です。健康診断の結果からメタボリックシンドロームに該当する人や、その予備軍の人が対象になります。

生活習慣病の前段階の人に、医師や管理栄養士、保健師、看護師がマンツーマンでサポートし、通常3~6ヵ月間の期間中に対象者の体重や腹囲、取り組み状況を厚生労働省に報告する義務があります。

特定保健指導では、特定健診の結果に基づいてメタボリックシンドロームに該当した人に「積極的支援」または「動機づけ支援」、それ以外の受診者には「情報提供」が行われます。

1-1. メタボリックシンドロームとは

そもそもメタボリックシンドロームは『内臓脂肪症候群』と呼ばれるものです。
メタボ=肥満と思われている方が多いかもしれませんが、肥満だけではメタボリックシンドロームとはいえません。内臓のまわりに脂肪がつく内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖や高血圧、脂質異常といった、生活習慣病の危険因子をあわせ持った状態がメタボリックシンドロームなのです。

肥満には皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満の2つのタイプがあります。危険なのは、内臓のまわりに脂肪がたまってお腹がぽっこりと出る内臓脂肪型肥満です。日本では、腹囲が男性85cm、女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、『メタボリックシンドローム』と診断されます。

1-2. 放っておくとリスクがある内臓脂肪とは

肥満のなかでもお腹の内臓まわりに脂肪がたまる内臓脂肪型肥満は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病につながりやすいので要注意です。内臓脂肪型肥満の原因はさまざまですが、長年の食生活の乱れや運動不足によるものがほとんどです。

使いきれないエネルギーが内臓脂肪としてお腹の内臓まわりにたまると、体内のホルモン環境が変わります。それにより悪いホルモン(悪玉アディポサイトカイン)を分泌して動脈硬化などを引き起こします。動脈硬化自体は自覚症状がないため、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中を発症することがあるわけです。

このような健康リスクを避けるため、特定保健指導では内臓脂肪に着目しています。そして、対象者が健診結果から自らの健康状態を正しく理解し、生活習慣改善のための行動目標を自ら決めて実行できるよう、医師や保健師、管理栄養士による個々人の特性やリスクに応じた支援を行うのです。

1-3. 特定保健指導の目的とは

より具体的な「特定保健指導の目的」を解説しましょう。
特定保健指導は、生活習慣病予防のために『セルフケア』ができるようになることを目的としています。今の生活習慣がよくないとは思っていても、どうしたらよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。そこで、対象者が保健師・看護師・管理栄養士などの専門職と一緒に、生活の中で「変えられること」を見つけて実行することによって、健康状態の改善をめざすのが大きな目的です。

ポイントとしては、下記のような点が狙いとなっています。

  • 健診結果の説明を通して、自分の体の中で起こっている変化を理解してもらうこと
  • 健康状態を改善するために、どのように生活習慣を改善できるかを対象者と指導者が一緒に考え、実行可能な行動目標を立てること
  • 行動目標を実行できるように、継続的にサポートすること
  • 対象者が、「できた!」「体調がいい!」と自信や達成感を得ることで、生活習慣が健康にとって非常に重要であることを実感し、自ら健康管理を行える人を増やすこと

2. 特定保健指導を受けるメリットとは

特定保健指導を受けるメリットとは?

特定健診・特定保健指導の対象者は40~74歳です。特に40代の人の場合、「まだまだ自分は健康だ」「面倒くさい」「病気になったら病院に行けばいい」といった理由で、特定保健指導の案内がきても「しつこい」と思ってしまう人が多いのが現状です。

しかし、特定保健指導の対象に選ばれたということは、今までの生活習慣を見直し、いつまでも元気に若々しく過ごすためのレールに乗り換えるターニングポイントともいえます。

特定保健指導を受けることで、さまざまなメリットを享受することができますが、ここでは5つを挙げて解説してみましょう。

2-1. メリット(1)無料で専門家から具体的なアドバイスを受けることができる

特定保健指導の費用は、健康保険組合の負担で行われます。医師・保健師・管理栄養士などの国家資格を持った専門家から、科学的根拠にもとづいたアドバイスを受けることができます。

「無料で専門家から健康に関するアドバイスをもらえる」と考えると、大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

2-2. メリット(2)健診結果から今の体の状態を知ることができる

生活習慣病は自覚症状が現れにくく、気が付かないうちに悪化していることも多くあります。何年も放置し、「早く病院に行けばよかった」と後悔する前に、健診結果の説明を受けることで未然に重篤な病気を防ぐことができるのです。

特に、「受診勧奨値」と呼ばれる健診項目のなかでも病院受診が必要なレベルにチェックがあった場合は、早めに受診して適切な医師の指示を受けるきっかけとして大いに役立つはずです。

2-3. メリット(3)自分に合った方法で減量することができる

生活習慣病予防のためにはバランスの良い食事を摂ったほうがいいとわかっていても、忙しいから外食ですませてしまうとか、単身赴任だから自炊ができないという方も多いでしょう。

特定保健指導では、専門職から「健診データを改善するために、体重と腹囲をどのくらい減少させればよいのか」「そのためには現在の生活習慣をどのように変えればいいのか」など、対象者の生活スタイルに合った方法を提案してもらえるので、自分に合った方法で無理なく減量していくことができます。

2-4. メリット(4)生活習慣改善のきっかけになる

自分の生活習慣のなかで「わかってはいるけど、なかなか変えられない」と思っている部分がある場合でも、保健指導を受けることで専門職の方から背中を押してもらうことになります。

実際に特定保健指導を受けた人のなかにも「体調がよくなった」「生活習慣改善のきっかけになって良かった」という声が多く聞かれます。

2-5. メリット(5)継続的なサポートによって三日坊主を防ぐことができる

ダイエットなどは自分の意志が続かずに三日坊主になってしまいがちです。ただ、特定保健指導は初回面談を受けた後も専門家によるサポートが続きます。「積極的支援」の場合、医師や保健師、管理栄養士らとともに行動計画を立て、3~6ヵ月にわたる指導・支援が行われるのです。

具体的には、定期的に「体重」と「腹囲」、「行動目標の達成度」を報告することになるため、継続的なサポートを受けられやすく、生活習慣の改善にも効果的です。

3. 従業員が保健指導を受けたがらない理由として考えられること

特定保健指導のメリットを説明してきましたが、これだけメリットがあっても受けたがらない従業員がいるのは事実です。

従業員が保健指導に積極的になれない理由はさまざまでしょう。例えば「時間が取れない」「自分で管理するから必要ない」などがありますが、なかでもよく挙げられるものとして次の2点があります。

3-1. 「指導を受けても変化がないのでは」という思いがある

生活習慣を改善する必要性を感じていても、「保健指導を受けたからといって、どうせ何も変わらないのでは」と考えている場合があります。

これは、飲酒や喫煙など「健康状態が悪化する原因」についてある程度の自覚があり、やめればいいと分かっていてもやめられないようなケースの人によく見られます。保健指導に参加しても言われることは予測ができており、自分で健康状態が改善されるイメージがつかないため、保健指導に参加しても意味がないのではという考えに繋がってしまうわけです。

3-2. 指導という言葉にマイナスイメージがある

「指導」という言葉から、生活習慣の良くない点を指摘され、改善するように一方的に話をされるのではないかとイメージしている人もいます。わざわざ時間を調整して居心地の悪い時間を過ごしにいくというのは、いくら健康のためとはいえ乗り気にならないのも仕方がありません。

さらに、基準に該当した年には毎年のように勧められることになります。一度断ったのに「またか」と感じてしまうのも無理はないでしょう。特定保健指導の名前は知っていても、実際の内容はよくわからない人によく見られるパターンです。

4. 「しつこい」から「受けたい」へ!特定保健指導を推進するポイント

「しつこい」から「受けたい」へ!特定保健指導を推進するポイント

このように双方にメリットがある特定保健指導ですが、従業員に積極的に受けてもらうためにはどのように進めたらよいのでしょうか。ポイントを3点ご紹介します。

4-1. ポイント(1)メリットを明らかにしたプロモーションをする

特定健診や特定保健指導といった名称は良く知られるようになりましたが、実際にどのようなものなのかよく分かっていない人も多いのが現状です。

特定保健指導は所見のある項目について改善するように言い渡されるものだと勘違いしているケースも見受けられます。指導を受ける側である従業員にとっての『メリット』を分かりやすく周知しながら、どのような指導なのかをしっかり知ってもらう必要があるでしょう。

世の中には健康情報が溢れており、調べればいくらでも手に入ります。しかし、どの情報も自分の状況に当てはまるものばかりではないはずです。たとえば「高血圧」という症状一つとっても、悪化の程度によって生活での注意点は変わってくるのです。

従業員の職場環境やライフスタイルも様々です。そのようななかで、自分に合った健康情報や改善方法を自分だけで見つけるのは難しいことです。その点、特定保健指導では一人一人に合った情報を手に入れることができるメリットがあります。

また、健康診断結果は基準と比較するだけでなく「経年変化」を見ることにもなります。これまでの推移を確認して、取り組み方に対するアドバイスまでもらえるのです。

さらに、スポーツジムやダイエットによい商品を利用するには費用がかかりますが、特定保健指導は前述した通り無料で利用することができるわけです。そのようなメリットを明確に従業員にプロモーションしていくことで、指導に対する抵抗感や「しつこい」という印象を変えていくことはできるはずです。

4-2. ポイント(2)コラボヘルスを推進して受けやすい環境を作る

特定保健指導を進めるうえで欠かせないのが、企業と健康保険組合などの保険者が足並みを揃える「コラボヘルス」です。コラボヘルスとは、保険者と企業が明確な役割分担のもと積極的に連携し、従業員の健康づくりを効果的、効率的に進めることです。

特定保健指導は保険者に実施が義務づけられているものですが、実際は指導時間の確保や企業の担当者の理解など、企業側の協力なしには進みません。企業側と健康課題や施策の共有をし、特定保健指導の位置づけを確認することで足並みが揃い、効果的に対象者へ参加を促すことができるのです。

就業時間中にも指導を受けられるよう配慮してもらうなど、受けやすい環境を整えてもらうことも効果的でしょう。

4-3. ポイント(3)特定保健指導の初回面接を受けやすいように工夫する

特定保健指導の対象者の行動は、下記のとおりいくつものプロセスがあります。

  • 健診の案内を受け取る
  • 健診を受ける
  • 健診結果を告げられる
  • 健診結果を理解する
  • 面接の案内文を受け取る
  • 読んで同意して受ける気になる
  • 当日忘れずに出向いて面接を受ける

あまりプロセスが多く複雑だと、「面倒だ」と思われてしまうのは当然です。対象者の負担を減らして面接を受けやすくなるよう、最大限わかりやすい特定保健指導にしましょう。

「特定保健指導の案内がしつこい」と感じている対象者のなかには、働き盛りであったり、子育てや介護で忙しかったりと、自分のために時間を取れない人も多くいます。そのため、特定保健指導では最初に行われる初回面接を受けやすくなるよう工夫するのもポイントです。

面接場所を、指定された医療機関ではなく勤務先をはじめいくつか選べるようにするとか、遠隔支援(ICT面談)を活用して自宅でも面接が受けられるようにするなど、対象者の利便性に配慮することも参加率アップにつながるでしょう。

特定保健指導の実施率を上げる方法は、他にもございます。以下のコラムでも「実施率を上げる施策」をご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

特定保健指導の実施率を上げるにはどうしたらいい?ペナルティについても徹底解説

5. 特定保健指導サービスならパーソルワークスデザインへ

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