採用代行は違法?採用代行のサービス内容や、法律を遵守しながら活用する方法を解説

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採用代行は違法?採用代行のサービス内容や、法律を遵守しながら活用する方法を解説

採用代行は違法?採用代行のサービス内容や、法律を遵守しながら活用する方法を解説

採用代行は『RPO(Recruitment Process Outsourcing)』と呼ばれますが、利用することで人事の業務効率化につながります。人事業務が効率化されますと、採用プロセスを見直すことにもなりますので、結果的に「採用の質」も高まっていくことになります。

ただ、「採用代行を利用することは、違法にあたるのでは?」と不安に感じるかたもいるかもしれません。本記事では、「採用代行」がどのようなサービスなのか、「違法行為にあたらないのか」などを解説していきます。
採用代行を利用するための手順もまとめていますので、採用業務のアウトソーシングを検討されているかたは、ぜひご覧ください。


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1. 「採用代行」とは

採用代行が違法かどうかを判断する前に、そもそも「採用代行とは何なのか?」を知らなくてはならないでしょう。
まずは、採用代行の意味やサービスの区分について解説していきます。

1-1. 採用代行とは採用選考の外部業者への委託

「採用代行」とは、採用活動の一部またはすべてを外部の専門家へ委託する採用支援サービスの一種です。
企業の採用活動において発生する業務負担の軽減や、採用活動のクオリティ向上に役立つため、多くの企業が活用しています。

同様のキーワードとして「人材紹介」がありますが、人材紹介は厚生労働大臣の許可を受けて不特定多数の企業や組織と転職希望者を結びつける事業です。企業の外部から採用活動支援を行うため、サービス内容は限定的になります。

人材紹介と違い、採用代行は企業の採用業務を内側からサポートするサービスといえるでしょう。

サービスの開始前には、企業の採用方針や選考基準などの確認・打ち合わせを行います。そのように、採用活動を全面的にサポートするケースもありますので、人材紹介よりも“カバーする範囲の広いサービス”だといえます。

1-2. 採用代行は「委託募集」に当たるサービス

採用代行は、労働者の募集を第三者に委託する「委託募集」に該当するサービスです。委託募集を行う企業は、厚生労働大臣や都道府県労働局長の許可を受けなくてはなりません。

この許可を受けるには、募集主である企業と募集受託者である採用代行業者が、法で定められている基準を満たしている必要があります。このあと詳しく解説しますが、委託募集に設けられた基準というのは、委託募集で採用される労働者が不利な状況に陥らないためのものです。

2. 採用代行には違法性はあるのか?

採用代行には違法性はあるのか?

「採用代行」は法律※に基づいた、厚生労働省や都道府県労働局長の許可が必要な業務です。
※職業安定法第36条1項、同法第60条、同法施行規則第37条1項3号
募集企業がこれらの許可をとったうえで採用代行業務を依頼すれば、違法性はありません。

続いては、採用代行と法律との関係性について解説していきます。

2-1. 基準を満たしていれば違法ではない

採用代行は、募集主と募集受託者の双方が厚生労働大臣や都道府県労働局長が定める許可基準を満たし、そのうえで届け出を出していれば違法にあたりません。

では、「厚生労働大臣や都道府県労働局長が定める許可基準」として押さえておきたいものは何かというと、以下の3つの条文が該当します。

(委託募集)
第三十六条 労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして報酬を与えて労働者の募集に従事させようとするときは、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
引用:職業安定法|e-GOV 法令検索

(権限の委任)
第六十条 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令の定めるところによつて、職業安定主管局長又は都道府県労働局長に委任することができる。
引用:職業安定法|e-GOV 法令検索

(法第六十条に関する事項)
第三十七条 法に定める厚生労働大臣の権限のうち、次の各号に掲げる権限は、当該各号に定める都道府県労働局長に委任する。ただし、厚生労働大臣が自らその権限を行うことを妨げない。
三 法第三十二条の九第二項(法第三十三条第四項及び法第三十三条の三第二項において準用する場合を含む。)の規定による職業紹介事業の全部又は一部の停止に関する権限 当該職業紹介事業を行う者の主たる事務所及び当該職業紹介事業を行う事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長
引用:職業安定法施行規則|e-GOV 法令検索

こういった基準が設けられている理由としては、「雇用の安全性を守るため」といえるでしょう。
労働者が採用された際に不利益を被らないようにするには、委託側(採用を実施する企業)と受託側(採用代行業者)の双方が雇用における適格性を満たさなくてはなりません。

そのため、許可基準の内容は、職業安全法や労働慣例法案などに大きな違反をしていないかを問われるなど、労働環境や雇用条件の安全性を求める内容が含まれています。届け出には、申請書以外にも帳簿などの資料提出が求められますが、それも委託側と受託側の適格性を審査するためです。
ただ、許可基準の内容は健全な運営をしていればクリアできるものばかりといえるでしょう。

2-2. 基準を満たしていない場合には違法の可能性あり

前述した通り、採用代行は委託側と受託側の両方が許可基準を満たす必要があります。
ですから、代行を依頼する際には受託側の業者が届け出を出し、許可を得ているか必ずチェックするようにしましょう。

許可を得ているかわからない場合や、許可基準を満たしていない疑いがある場合、「違法業者」の可能性があります。
許可基準を満たしているかどうかについては、このあと解説する内容をチェックしてみてください。

3. 採用代行委託時に個別の許可を取らないと違法になる?

採用代行は許可が必要だと書いてきましたが、実は許可を取得していなくても問題がない場合もあります。
ここでは、「委託側に許可がいらない場合」について解説をしていきます。

3-1. 委託側に許可がいらない場合

採用代行は、委託内容によって委託側に許可がいらない場合があります

たとえば、募集や選考を自社で行い、採用試験問題の作成実施を外部委託した場合には、第三者が募集を行ったとはみなされないわけです。そのため、「委託募集ではない」という判断になります。

また、転職エージェントやヘッドハンティング会社が、特定のポストの希望者を募って企業にあっせんする場合も、「委託募集ではない」という判断になり、この場合は職業紹介に該当することになります。

採用代行は、あくまでも採用にかかわる業務を「委託」することです。委託する範囲や人材を雇用する経路により、委託側である企業が許可を取るかどうかが変わってきます。
採用関連の外部サービスを利用する際は、委託許可が必要かどうかを必ず確認しておきましょう。

3-2. 委託募集の許可が必要な場合と、その条件

委託募集の許可基準については「職業安定法第36条」に記載されており、確認してみると委託側と受託側で細かい違いがあることが分かります。

以下に、委託側の許可基準をまとめましたので、まずは委託側の許可基準を押さえておきましょう。

【採用代行における委託側の基準】

事業主の徳性職業安定法そのほか、労働関係法案に係る重要な違反をしていない
募集に係る労働条件・労働条件が適切である
・法令に違反するものではない
・同地域における同業種の賃金水準に比較して著しく低い金額ではない
・募集に係る業務内容および労働条件が明示されている
・適用事業所は社会保険・労働保険に適切に加入している
報酬厚生労働大臣の認可を受けた報酬以外の財物を与えるものではない

内容を見るとわかりますが、これらも健全な企業運営をしていれば問題なくクリアできる内容ばかりです。
続いては、受託側である採用代行業者に設けられた基準です。

【採用代行における受託側の基準】

事業主の徳性職業安定法そのほか、労働関係法令に係る重大な違反をしていない
業務に必要な判断能力青年被後見人または被保佐人でないこと
採用代行に必要な知識労働関係法令および募集内容・職種に関して十分な知識を有している

受託側の条件は、業務を行うものの「採用における判断力」を問う内容が多いといえます。これは、採用を行う立場である業者が「応募者を的確に判断できるか」を確かめるために設けられています。
このほか、募集を行おうとする期間や、報酬の認可基準にも条件が定められています。

【募集期間や報酬の認可基準】

募集期間募集を行おうとする期間が1年を超えないものにすること
報酬支払われた賃金額の100分の50未満まで
(委託募集に必要となる経費が特に高額になる特段の事情がある場合を除く)

委託側の許可基準と同様に細かい条件が設けられていますが、こちらも健全な企業運営をしていればクリアできるものばかりです。委託業者を探す際には、これらの基準を参考にしながら探すようにしましょう。

4. 採用代行における委託募集時の申請方法

採用代行における委託募集時の申請方法

次に、「委託募集」をする際の申請方法について解説していきます。
委託に必要な書類などにも触れていきますので、依頼の準備にお役立てください。

4-1. 委託募集の申請に必要な書類を用意する

まずは書類の用意です。
委託募集の申請には下記のとおり、都道府県労働局長へ提出する書類が必要ですので、準備をしていきましょう。

【委託募集の申請に必要な書類】

  • 厚生労働省発行「委託募集許可等申請書(様式第3号)」
  • 上記許可の内容を証明する帳簿や書類

委託募集には条件が設けられており、以下の条件に該当する場合は、都道府県労働局長の許可に加えて厚生労働大臣の許可が必要です。

  • ひとつの都道府県から30人以上募集する場合
  • 募集人数が100名以上になる場合

もし、この条件に該当する場合には許可が必要になるので、書類を準備していきましょう。

4-2. 期限までに書類や資料を提出する

書類の準備ができたら提出していきますが、このときに注意しなくてはならないのが書類の提出期限です。
提出期限は下記の通り決められています。

【委託募集申請書類の提出期限】

都道府県労働局長募集開始月の14日前まで
厚生労働大臣募集開始月の21日前まで

委託募集の申請をする際には「提出期限も決められている」という点に注意しましょう。

4-3. 申請後は審査結果を待つ

書類提出後は、許可基準に基づいて審査が行われていきます。審査結果は、許可・不許可・条件付き許可の3つの判断のいずれかになりますので、そのつもりで待ちましょう。

ちなみに、委託許可申請は受託側が委託側に代わって行うことが認められています。
手続きに慣れていない場合や業務効率を重視する場合などは、許可申請も一緒に進められる業者へ任せるとよいでしょう。

5. 採用代行業者に依頼する際のポイント

続いて、採用代行業者へ依頼する際に押さえておくとよいポイントについて解説していきます。
依頼を検討している場合には、これらのポイントを意識しながら進めていきましょう。

5-1. 分担する業務の明確化

担当者はおわかりかと思いますが、採用活動は繁雑な業務が多いものです。そんな業務内容のなかで、委託する範囲と自社が担当する範囲は明確にしておくことがポイントになります。

委託する範囲と自社担当範囲がわからない状態で業務を依頼してしまうと、自社と委託業者で業務が「重複」してしまったり、逆に両社が着手しない「漏れ」が発生してしまったりする可能性があります。これらは採用業務に混乱をもたらす要因になるため、不明瞭な状態で委託するのは避けましょう。

5-2. 委託業者と情報を共有する体制づくり

採用活動において必要となる情報としては、「応募者の情報」や「採用業務のノウハウ」などがあります。これらを代行業者と共有できる体制づくりも重要といえます。打ち合わせの際には、情報や進捗をやり取りするためのツールを確認しておきましょう。

採用管理システム(ATS)など、自社で利用しているシステムを使うことができれば環境整備には時間を掛けずにすみますので、事前にどういったツールで情報を共有できるのか確認しておきましょう。また、定例会議やミーティングで情報共有を行っている企業は、情報共有のタイミングについても確認しておくとスムーズに業務を移行できるはずです。

採用代行を依頼する際は、ただ業務を委託するだけではなく、情報を共有しやすい体制作りなど広い視点で考えていくようにしましょう。

5-3. 代行業者の見極めをしっかりと

対象となるユーザー像を「ペルソナ」と呼びますが、採用においてもペルソナ、つまり「自社が望む人材像」を明確に描くことは重要です。そして、自社と採用代行業者で、このペルソナをしっかり共有できているかというのもポイントになります。

また、そもそも必要としている人材が市場にいない可能性も考える必要がありますが、その辺りをしっかりとリサーチできている代行業者なのかどうかも見極めないといけません。

  • 採用代行業者の実績を見て、リサーチ力や得意分野を判断しておく
  • ペルソナを作成し、自社と代行業者との間で共有しておく

以上のような対策を行い、採用代行の成果を高めていくようにしましょう。

6. まとめ

採用代行は、採用業務の一部またはすべてを代行する委託サービスのひとつですが、採用代行業者を探す際には許可基準を満たしているかをしっかり調べて依頼する業者を選んでいきましょう。

わたしたちパーソルワークスデザインでは、採用代行サービスを行っております。
採用代行業者としての基準を満たしているのはもちろんのこと、「求人広告管理」から「入社書類の送付」に至るまで、あらゆる採用関連業務の代行に対応しています。

対象についても、「新卒採用支援」や「中途採用支援」から「アルバイト・パート採用支援」まで対応しています。また、対応方法も「チャットボットによる面接マッチング」や「ダイレクトソーシング支援」まで、様々なRPOを得意としていますので是非お任せください。

詳細につきましては、下記のページやダウンロード資料などをご覧ください。
なにかご不明な点があれば、お気軽にご相談くださいませ。

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