請求管理の業務とは?業務内容や流れ、注意点や効率化の方法などを徹底解説

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請求管理の業務とは?業務内容や流れ、注意点や効率化の方法などを徹底解説

請求管理の業務とは?業務内容や流れ、注意点や効率化の方法などを徹底解説

経理業務において、「請求管理」は取引先から対価を抜け漏れなく回収するための重要な業務といえるでしょう。

しかし、取引先に請求書を発行したり、売上債権と入金を照合して消込作業をしたりと、地味ながらも多くの時間を取られている経理担当者の方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、請求管理業務について、一連の流れをあらためて確認していきます。請求管理業務のなかで注意するべきポイントや、請求管理業務を効率的に行うための方法などについても詳しく解説していきます。ぜひ、実務の参考にしてください。

1. 請求管理とは?

「請求管理」とは、売上に係る業務のひとつです。取引先に対して請求書を発行・送付したり、入金確認後に売上債権と入金記録の照合をする消込作業を行ったりする業務を指します。

売上の対価について適時に取引先に請求し、きちんと支払われたかどうかを確認し、未払いの売上債権を正確に管理する、という流れで行われ、企業にとって最も重要な業務のひとつといってもいいでしょう。

ビジネスの現場において、取引先からの支払いは「掛け」によって行われます。つまり、「現金手渡し」ということは稀で、代わりに「1ヶ月~半年先までに入金」といった支払条件に従って、入金のタイミングが引き延ばされるわけです。

この支払条件は、取引先と新たにビジネスをはじめる際に、交渉によって決められることが多いため、結果的に、取引先によって支払条件はバラバラになります。

そのため、企業は取引先ごとに「売掛金」「未収入金」といった形で売上債権を認識し、入金された売上債権と、まだ入金されていない売上債権を把握して管理するのです。

この管理を難しくしているのが、入金の実務です。実は、取引先からの入金は、個々の売上債権に直接紐づけられてはいません。単純に銀行口座などの入金記録から「〇〇円の入金が△△という取引先からありました」という事実のみを知るのが一般的でしょう。

ですから、この「入金」の事実と、既に計上されている「売上債権」とを紐づけて、売上債権がきちんと入金されたことを確認する作業が発生します。これが、入金の消込作業と呼ばれるものです。

2. 請求管理業務の流れ

請求管理業務の流れ

それでは、具体的にどういった業務を行っていくのか、流れに沿って見ていきましょう。

(1)「請求の締め」を決める

ビジネスの現場では、ひとつの取引先と複数回の取引を継続して行うことがよくあります。そのような場合、一定期間に行われた複数の取引を、まとめて1枚の請求書にして取引先に送付するといったことが行われます。

例えば、「毎月末日締め」など、あらかじめ取引先と請求の締め日を決めておき、前回の締め日から今回の締め日の間に行われた複数の取引について、1回で請求を行うのです。

この請求の締めの条件は、「モノの提供」や「サービスの提供」など、取引内容や取引形態によってさまざまです。取引の度に請求書を送付してほしい取引先もいれば、「毎月1回」のようにまとめて送付してほしい取引先もいるでしょう。

このように、取引の実態や取引先の好みを踏まえて、どのような状態になったら請求ができるのか、という「請求の締め」の条件をあらかじめ取引先と決めておきます。

(2)請求書の発行

あらかじめ決めた「請求の締め」を経過したら、請求期間にわたって行われた取引を確認して、その取引の内容に従って請求書を作成します。

請求書に記載する内容は、主に以下の6点です。

  1. 請求書を発行する自分の会社の名称(適格請求書の場合は登録番号)
  2. 取引先の名称
  3. モノ・サービスの譲渡が行われた年月日
  4. モノ・サービスの内容
  5. 金額(消費税抜き・消費税込み・消費税額)
  6. 支払条件(支払期日や支払方法)

取引先との話し合いによって、さらに追加で情報を加える場合も多いでしょう。例えば、「取引先の住所」や「自社の住所」、「電話番号」「担当者の名前」などです。

また、継続して取引をしている取引先とは連番を付けて整理をしやすくしたり、工事などの場合には工事名称や工事の整理番号を付けたりすることもあります。

このように、取引先によって請求書に記載する内容は異なってきます。一方で、同じ取引先とは同じ体裁の請求書を継続して使用し続けることが多いので、取引先ごとにフォーマットを作成しておくと実務がスムーズになるでしょう。

(3)請求書の送付

請求書の作成が終わったら、その請求書を取引先に送付します。

送付に際しては、昨今ではPDFなどの電子データで送付することが多くなっています。電子データで送付する際には、WordやExcelなど、編集可能なフォーマットで送付することは避けるべきです。

また、「紙の原本での送付が、別途必要かどうか」についても、取引先の担当者に確認しておくようにしましょう。捺印やサインなどがされた請求書を原本で保管している企業も少なくありません。紙で送付する必要がある場合には、宛先間違いに注意して早めに送付するようにしましょう。

また、電子データと紙のいずれの場合でも、支払期日のギリギリに送付するのは避けましょう。取引先に支払作業を急がせてしまううえ、自社側でも支払期日までに取引先からの支払いが行われないなどのリスクを抱えることになってしまいます。

可能であれば、締め日から1週間以内に送付するのが望ましいと考えられます。

(4)入金確認

取引先に請求書を送付した後は、取引先からの入金を待つことになります。

例えば、はじめての取引先だったり、海外との取引先だったりした場合には、別途メールや電話などを利用して、「請求書がきちんと届いているか」「支払方法について問題がないか」を、取引先の担当者に確認しておくと良いでしょう。そのうえで、取引先ごとの支払期日に従って取引先から入金がされていることを確認します。

多くの取引先は、支払期日と同日に支払いを行ってくる傾向があります。それは、現金を可能な限り長く自社に確保しておくためです。

ただ一方で、取引先によっては予定より早く入金してきたり、入金が大幅に遅れたりすることもあります。特に海外企業からの送金には時間が掛かりますので、日本への着金が遅れることは頻繁に起こりうることです。

このように、不確かな入金があったり入金が遅れたりした場合には、速やかに取引先に連絡を取って事実関係を調べる必要があるでしょう。

(5)売上債権と入金記録の照合と入金リストの消込

最後に、入金の内容と自社で計上している売上債権とを照合する「消込」の作業を行います。

売上債権については、取引先ごと・支払期日ごとにあらかじめ表などにまとめておくと良いでしょう。その表には、担当者名と連絡先も併せて記載し、何か疑問が出てきた場合には、すぐに担当者に連絡を取れるよう情報を集めておきます。

このように、入金リストの消込の管理をすることによって、「間違って取引先が送金をしてきた」「送金を忘れてしまっていた」「送金先に間違いがあった」という場合でも、早期に発見することが可能になります。

3. 請求管理業務の注意点とは

続いて請求管理業務における注意点を見ておきましょう。注意点として、大きく以下の2点が挙げられます。

注意点(1)請求書の発行・送付を、ミスなく遅延なく行うこと

請求書はモノやサービスを提供した会社が、取引先に対して最後に行う作業です。

取引先にとって満足のいくモノやサービスを提供したとしても、請求金額が過大になっているなど金額を誤っていたら、取引先からの信頼を失ってしまいます。場合によっては、次回以降の取引ができなくなるかもしれません。

請求書は、「会社の顔」を表す重要な書類だと捉えて、正確な内容を遅延なく取引先に届ける必要があるのです。

請求書において、よく誤って記載してしまうのは、「モノ・サービスの内容」の部分です。特に、請求期間内に多くの取引を行った場合には、その分だけ記入する内容が増えていきます。

記入については、どうしても人間が行う作業になりますのでミスは必ず出てきてしまいます。単価が決まっていて、個数や件数を変更している場合は、自動的に個数や件数の入力ミスが請求金額に反映されてきてしまいますので、注意が必要でしょう。

請求書の作成後に、請求金額が「過大」「過少」になっていないか、ダブルチェックすることでミスを減らすことができます。また、部署内の別の人と連携して、「少なくとも2名以上の別の人間が請求書を確認する」といった業務フローを組み込んでも効果的です。

一方で、「モノ・サービスの内容」以外については、継続的な取引先の場合にはすでにフォーマットが決まっており、新たに上書きをすることが少ないためミスは起こりにくい箇所だといえるでしょう。

ただし、はじめて取引を行う取引先は、新しくフォーマットを作成しなければならないため、注意が必要です。

そのような場合には、請求書を送付する前に、事前にフォーマットを取引先の担当者に送付し、「フォーマットの内容に誤りがないか」、「フォーマットに追加で入れてほしい情報はないか」などの確認をとると良いでしょう。

注意点(2)入金の消込処理で、不確かな点をそのままにしないこと

次に注意するべきは、入金の消込処理です。この作業は、単純なように見えて奥が深く、相当な慣れと経験が必要になります。

実際、取引先からはさまざまな入金パターンがあります。入金パターンとその理由について、下記に挙げてみましょう。

入金パターン(1)複数の請求書の内容をまとめて1回で入金してくる
理由:入金手数料を最小化するためで、頻繁に行われます。

入金パターン(2)1枚の請求書のうち、一部のみを先に入金してくる
理由:請求書内の個々の明細の金額が大きい場合、もしくは個々の明細について取引先側で管理している部署が異なっている場合に、よく行われます。

●入金パターン(3)支払期日と異なる日に入金をしてくる
理由:特に支払期日に遅れての入金が多く、その場合は取引先の担当者も支払うことを忘れているケースがあります。

入金パターン(4)入金の金額を間違えている、もしくは送金先を誤って入金してきた
理由:これが最も追跡が困難なケースです。取引先の担当者に連絡を取り、どういった内容の入金か確認する必要があります。

入金パターン(5)複数の取引だが同じ請求金額なので、同じ金額が並んでいる
理由:定期的に同じモノを購入しているケースで、かつ、入金のタイミングが支払期日からずれる場合に発生するケースです。同額の売上債権が複数計上されるため、入金に対してどの売上債権を結び付ければいいのかが判別しにくくなります。取引先の担当者に確認して、事実関係を把握する必要があります。

このように、取引先の誤りに端を発するものから、「複数の請求書をまとめて入金する」など、ビジネスの慣行としてよく行われているものまで、消込作業を困難にさせるさまざまなパターンが存在しますので、注意が必要でしょう。

4. 請求管理業務を効率化する方法

請求管理業務を効率化する方法

ここまで請求管理業務の概要や流れを説明してきましたが、次は請求管理業務を効率化する方法についてです。請求管理業務を効率化する方法として、まず手を付けられるのは「請求書の発行」と「請求書の送付」の業務を効率化することでしょう。

具体的には、以下の3点が効果的だといえます。

  • 取引先の一覧を作成し、それぞれの締め日を一覧表で管理する
  • 請求書は、取引先ごとにフォーマット化し、入力項目を最小化する
  • 請求書については、複数名による確認をルーティン化し、請求書の内容に誤りがないようにする

一方で、入金の消込作業など、どうしても勘と経験によって作業時間が大きく変わってしまう業務があるのも事実です。このような業務については、以下のような方法をとることで効率化が可能になるはずです。

方法(1)取引先ごとに担当者を決める

1つの取引先に対して、専属の担当者を決めます。

その担当者に継続的に入金の消込処理をさせることで、その取引先が「いつ、どのような支払いをしてくるか」といった入金のクセ・傾向を把握させるのです。

また、その取引先側の担当者と密なコミュニケーションをとっていくことで、何か不確かな点があった場合でも、迅速に事実の把握ができるようになります。

方法(2)消込のフォローアップ会議を実施する

支払期日を越えても消込がされていない売上債権について、一覧表を作成して、月に1回程度の頻度で入金消込の担当者を集めた「フォローアップ会議」を実施すると良いでしょう。

これは、経理部門のライン長などが実施し、少なくとも決算までに未入金の売上債権や不確かな入金が残っていないようにチェックするのです。

長期にわたって入金がない売上債権については、取引先の与信を調査したり、場合によっては貸倒引当金・貸倒損失の計上も視野に入れたりします。

方法(3)アウトソーシングを検討する

「業務量が膨大である」「すべての取引先をカバーできるだけの担当者がいない」といった人的リソースの不足が顕著な場合には、請求管理業務のアウトソーシングを検討しても良いでしょう。

新たに社員を雇ってゼロから教育する場合に比べ、専門業者に依頼したほうがミスも少なく、効率も良く、結果としてコストを低く抑えられるケースは非常に多くあるのです。

5. 経理のアウトソーシングならパーソルワークスデザインへ

請求管理の業務はミスが許されないため、経理担当者にとって大きな負担となります。そこで、業務効率化を図るためにアウトソーシングを活用すると、業務品質を維持しながら経理担当者の作業時間を削減することができます。

私たちパーソルワークスデザインでは、「経理業務アウトソーシング」サービスをご提供しています。請求書をはじめとした証憑のシステム入力、仕訳処理、消込など幅広い業務をご依頼いただける点が特徴です。

経理業務アウトソーシング」に加え、「経費精算アウトソーシング」サービスもご提供しています。経理業務で何かお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

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