『採用計画』の定義や手順、新卒と中途での違い、実行上の注意点について解説

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『採用計画』の定義や手順、新卒と中途での違い、実行上の注意点について解説

『採用計画』の定義や手順、新卒と中途での違い、実行上の注意点について解説

会社でともに仕事に取り組んでくれる仲間を探していくのが「採用活動」です。そして、その採用活動を進めていくうえで大切なのは、やはりベースとなる『採用計画』をしっかりと立てることだといえるでしょう。

採用計画はPDCAサイクルにおけるPLANに該当し、採用活動の基礎に当たる部分ともいえます。人事担当者の方であれば、その重要性についてはきっと理解されているはずです。

本記事では、そんな『採用計画』の定義立案する手順新卒の採用計画と中途の採用計画の違い実行上の注意点などについて解説していきます。

1. 採用計画の定義

『採用計画』とは、採用に関連する次の項目について、事前に決めていくことです。

採用すべき時期 / 役職 / 配属部署 / 人材像 / 雇用形態 / 給与 / 人数 / 採用活動の期間 / 手順 / 選考基準 / 評価項目 / 責任者 / チャネル(広報手段・求人媒体・人材紹介会社)選定 / 予算 / 目標母集団

ちなみに、最後に挙げている「目標母集団」とは、わかりやすくいえば“応募総数”です。採用計画の立案は「優秀な人材を獲得すること」と、その先にある「会社の成長と事業の成功」が目的になりますが、母集団が多ければ多いほどその可能性は高まります。

「人手が必要になったら補充する」とか「人が足りなくなったら増員する」というような、行き当たりばったりの採用方針を掲げてしまっている企業は未だに多いように見受けられます。しかし、現代では下記のような背景から採用が難しくなっているといえるでしょう。

  • 感染症対策による行動制限 
  • 少子高齢化に伴う労働力人口の減少 
  • 働き方の多様化に伴う価値観の変化

必ずしもベストなタイミングで採用したい人材から応募が来て、スムーズに配属が実現できるとは限りません。そのため、人事担当者はたった1人を採用する場合であっても、想定外の「時間」「手間」「コスト」を費やしかねません。

しかし、採用計画をしっかりと立て、それに準じて活動をしていくことで、「時間」「手間」「コスト」のムダを省けるだけではなく、優秀な人材を獲得しやすくなるのです。

2. 採用計画はどう立てるのか? 立案する手順を解説

採用計画はどう立てるのか? 立案する手順を解説

では、採用計画はどう立案していくべきなのでしょうか。その手順について、順を追って解説していきましょう。

手順(1)採用目標や目的を明確にする

冒頭でお伝えしたとおり「会社の仲間」「仕事の仲間」を探すための採用計画となりますので、まずは会社の経営方針や当該年度の事業計画などと照らし合わせながら『採用目標』や『目的』を明確にしていく必要があります。

「どの職種で何人必要なのか」「どういった仕事をして欲しいのか」「どういったスキルを持っていて欲しいか」「どういった思考・行動特性の人物が欲しいか」といったことを、具体的に決めていきましょう。

こうした目標や目的が決まっていないと、採用活動をしていても軸がブレてしまい、最終的に採用した社員を不幸にしてしまうことにもなりますので、しっかりと決めておくべきです。

手順(2)採用ニーズや現状について洗い出しておく

先ほどの手順(1)で、会社の経営方針と照らし合わせて目標を決めていくわけですが、それと合わせて3年、5年、10年程度のスパンでも必要な『採用ニーズ』を洗い出しておきましょう。

人が足りないとか、人員を増強するという場合にはいつ入社してもらっても構いませんが、3年以上の中長期的な視点になると経営方針などにも紐づいてきますので、考え方が変わります。あらかじめ採用ニーズを認識しておかなければ、いざ動こうと思っても動けなくなるので注意が必要です。

それとは反対に、社内の現状についても各部署の責任者などに確認をし、当該年度の希望採用人数や現在の配置人員の状況などを把握しておくべきです。その際には、必要なスキルレベルや能力など、どういった人材を必要としているのかをしっかりと話し合い、人事と現場の双方の認識を統一しておきましょう。

手順(3)選考方法を検討する

どういった人材が必要かを明確にしたら、次はその人材を採用するための選考方法を検討しましょう。どんなに良い採用計画を作ったところで、目の前の応募者を正しく見極められなければ意味がありません。

選考方法を検討する際には、『評価項目』を作成していきます。そのうえで選考方法を検討していきましょう。選考方法は一般的に『書類選考』『筆記試験』『面接選考』を組み合わせながら応募者を見極めていきます。

手順(4)スケジュールのシミュレーション

選考を進めていくうえでは、採用スケジュールのシミュレーションも非常に重要なポイントになります。

近年では、新卒や中途を問わず、採用スピードの加速化が進んでいます。その背景としては、「情報収集がラクなので、1社ではなく複数社を検討している」「十分にリサーチをして、数を絞ってからエントリーしている」という応募者が増えているためです。

こういった背景のなか、連絡を躊躇してしまったり、対応が遅くなってしまったりすると、入社希望者が大きく減ってしまいかねません。ですから、採用スケジュールをしっかり作成し、その後はスケジュールに無理がないかをシミュレーションしておくことも必要になるのです。

手順(5)募集する媒体を選定する

スケジュールと合わせて考えたいのが、募集する媒体の選定です。昨今では求人メディアも種類が増えており、媒体を選ぶことも採用の成否に関わる重要な要素になってきています。

ターゲットの性別・年齢といった属性や、自社の採用目標にあった媒体選びがじっくりできるよう、スケジュールに余裕をもって検討するようにしましょう。

また、近年では自社専用の採用サイトを制作する『オウンドメディアリクルーティング』も活発になってきていますので、検討してみても良いかも知れません。

3. 新卒と中途で採用計画に違いはあるのか

それでは続いて、採用計画を考えるうえで新卒採用と中途採用ではどう違うのかを見ていきましょう。具体的には、下記の項目で違いが発生します。

  • 採用形態
  • 応募人数
  • 選考基準と評価項目
  • 期間と選考回数

何がどう違うのか、1つずつ確認していきましょう。

新卒と中途での違い(1)採用形態

多くの企業で新卒は『メンバーシップ型雇用』という形で入社となり、その後、本人の希望や研修時の評価によって、職種や配属部署が決まっていきます。

一方で中途は、原則的に経験者・即戦力を『ジョブ型雇用』という形で採用し、空いたポジションに補充していくことになりますので、求人公開時点で既に職種、配属部署が決まっている点が異なります。

新卒と中途での違い(2)応募人数

新卒の場合、学生が3、4年次から一斉に就職活動を始めるため、かなり多くの人数から応募が来ることになります。

しかし、中途の場合は人材紹介会社の非公開求人として出すケースが多く、人材紹介会社がある程度ふるいにかけた状態で都度、応募書類を提出してきますので、人数としてはそこまで多くはなりません。

新卒と中途での違い(3)選考基準と評価項目

新卒の場合、ほぼ全員に社会人経験がないため、応募者のポテンシャルや可能性を見極めながら選考を重ねて評価していきます。

しかし中途の場合には、これまでの経験・スキル・能力を職歴で確かめながら評価し、即戦力かどうか、会社の利益に貢献できるかどうか、等を確認しながら選考していくことになります。

新卒と中途での違い(4)期間と選考回数

現在、新卒の採用スケジュールは毎年3月に広報が解禁され、6月に選考が解禁され、10月に内定、翌年4月に入社という流れとなります。大学3年次のインターンシップも入れると、実に2年近いスパンの採用計画が必要となるわけです。

前述したように、多くの学生が一斉に入社を志願してきますので、書類選考、筆記試験、集団面接、グループディスカッション、一次面接と丁寧に選考を重ねていき、人材候補を徐々に絞り込んでいこうとすると時間がかかってしまいます。

一方で、中途は新卒と比べて応募者が圧倒的に少なく、また募集要項にも求める経験・スキル・能力を明記していますので、それを満たさない人材からの応募は原則的にありえません。

さらに、募集要項に準じた応募が来たとしても多くは書類選考で落とされることになるため、通過者は若干名であり面接も1~3回程度となります。そのため、求人公開から入社が決まるまで概ね3カ月程度のスパンといえるでしょう。

4. 新卒と中途で異なる採用計画のポイント

新卒と中途で異なる採用計画のポイント

では続いて、採用計画のポイントについて、新卒と中途での違いにフォーカスしながら、それぞれ1つずつ挙げてみましょう。

4-1. 新卒の採用計画は“母集団”を意識して立てる

新卒採用においては通常、最初に膨大な数のエントリーシートが一斉に提出されてくることになります。この数が“母集団”になるわけですが、社会人経験がなくスキルや能力にほぼ差がないといえる学生たちの書類を手に取って、1枚1枚、細かく目を通したりする余裕はないでしょう。

そのため、「エントリーシートのどこを見るか」という評価項目や、「どういったことが書かれていたら合格とするか」という選考基準を細かく定めておき、それと同時に通過者が0名にはならないよう、母集団から通過させる人数や通過率を決めたうえで計画に盛り込んでおくと良いでしょう。

もし、新卒採用で応募者が想定より少なかったり、思うような学生たちからエントリーシートが届かなかったりするのであれば、以降は母集団を増やしていく必要があります。そして、「増やすためにはどう準備していくべきか」もあわせて考えながら、計画を立てていく必要があります。

4-2. 中途の採用計画は配属先責任者とともに立てる

中途採用の場合は、新しいポストを除いて「配属先の空いたポジション」に就いてもらう人材を募集していくものです。そのため、勤怠状況など配属先の現状を踏まえ、責任者の意向も確認したうえで採用計画に反映させていく必要があります。

また、配属先で必要とされるスキルレベルや能力、希望する人材像などを責任者から聞き出しておくことで、空きが出た際に速やかに求人票の素案が作成でき、人材紹介会社への説明もスムーズに行えるでしょう。さらに、入社後のミスマッチや早期離職の防止にもなり、部署全体としても高いパフォーマンスを発揮できるような環境が作れるようになるはずです。

5. 採用計画を立案した後、実行するうえでの注意点

次に、採用計画を立案した後で、いざ実行する際に注意すべき点について、3つほど挙げながら解説していきます。

注意点(1)計画は、会社や事業とともに変化させる

計画は「PLAN」ですから、計画を立てたあとはPDCAの2番目であるDO(実行)をしていくわけですが、会社や事業というのは実行しながら変化させていくべきものです。そして、採用計画もまた会社や事業と連動させていくものですから、計画を決めたらずっと固定していくというわけではありません。

時代の流れにあわせて会社や事業が変化していくのと同様に、採用計画も変化を遂げさせることでより効果的に進めていくことができる、という点は頭に入れておきましょう。

注意点(2)定期点検と改善を欠かさない

採用計画が実態にそぐわない状況となった際には、必ずトラブルが生じるものです。その際は、一度立てた計画に固執することなく、定期的に進捗や乖離の有無をCHECK(点検)して課題を抽出し、計画のACTION(改善)を施して解決を図っていきましょう。

採用活動は「優秀人材争奪戦」であり、変化を恐れてタイミングを逃してしまうと振り出しに戻ってしまうこともありえます。ですから、定期的に点検をしながら迅速に意思決定をすることが望ましいでしょう。

注意点(3)リソースが足りなければ外部サービスも視野に入れる

採用計画の立て方などを説明して来ましたが、いざ実行しようとしても時間がなかったり人手が足りなかったりして動けないこともあるかもしれません。人事部には日常業務もありますので、なかなかリソースが確保できず、思うような計画が立てられない企業は多いものです。

ただ、手が回らないからと計画立案を後回しにしていては、いつまで経っても良い採用ができずに悪循環となってしまいます。そこで、採用計画を効果的に進める一手として、外部の採用代行サービスを利用するという方法も検討してみましょう。

採用の業務は、採用計画からはじまって、採用した人材のパフォーマンスを発揮させるまで長期にわたる活動になります。企業によっては、繁閑が大きい業務でもあり人員が十分に確保できない場合もあるでしょう。ですから、煩雑な業務に追われてしまう前に、採用事務をアウトソースすることも視野に入れておくと良いでしょう。

6. 採用のアウトソーシングサービスならパーソルワークスデザインへ

本記事では、採用計画を立てる定義から、立案の流れ、そして新卒と中途での採用計画の違いなどについて解説をしてきました。

最後の「注意点」のところにもありましたが、自社にフィットする人物を探し出すうえで、外部のプロの手を借りることは有効な手段といえるでしょう。もし「採用」に関してなにかお困りごとがありましたら、私たちパーソルワークスデザインへお任せ下さい。

総合人材会社のパーソルグループに蓄積された豊富な人材マーケットの知見を活用し、御社に合った採用についてご提案させていただきます。

新卒採用や中途採用だけでなく、アルバイト・パート採用の支援もさせていただいております。採用の施策としても、ダイレクトソーシング支援チャットボットでの面接マッチングなど、様々な施策をご用意しています。

導入事例も数多くございますので、まずはお気軽にご相談くださいませ。

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