ヘルプデスクのアウトソーシング、メリットとデメリット、業務委託するときの請負範囲や外注費用を徹底解説

ヘルプデスクは、一般的に情報システム部門がIT関連のトラブルに関する問い合わせや修理の対応を行う窓口として使われる名称です。24時間365日の対応が必要な場合もあり、担当者の負荷は非常に大きい業務といえるでしょう。多くの企業では、効率化のためにヘルプデスクをアウトソーシング・業務委託しています。この記事では、ヘルプデスクの概要やメリットとデメリット、業務委託する際の請負範囲や外注費用について整理してまいります。
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目次
1. ヘルプデスクとは?カスタマーサポートとの違い
ヘルプデスクと混同されやすい言葉に「カスタマーサポート」があります。カスタマーサポートは広い意味で「顧客の困ったとき」全般に対応し、ヘルプデスクは顧客のほか社内を対象として「緊急性や重要度の高いトラブル」に対応している、という分けかたができるでしょう。
ヘルプデスクという名称を使っていない場合もありますが、企業の情報システム部門には、さまざまなIT機器をサポートする業務があります。ファックスやプリンタの複合機の整備から、パソコン、ネットワーク機器、業務アプリケーションなどの故障やトラブル、使い方の問い合わせ対応を行っています。
社内のシステムが故障などによって使用不可能になってしまうと、業務が滞るだけでなく顧客対応にも影響を与えてしまいます。ビジネスチャンスを失ってしまうばかりか、顧客の信頼までも失いかねません。したがってヘルプデスクは、単に故障や修理の担当部署ではなく、間接的に企業の信頼性を維持している業務ともいえるのです。
2. ヘルプデスクのアウトソーシングできる業務は?

IT関連のヘルプデスクは、以下の2つの領域で請負契約を交わし、外注されています。
- 社内向け:IT関連の問い合わせやトラブルなど障害対応
- 社外向け:ユーザー向けのカスタマーサポート
社内の問い合わせやトラブルなどの障害対応としては、ベンダーが設置しているヘルプデスクを利用する方法が代表的です。これは、一般的にはシステム導入・運用・保守を行っているシステムインテグレーターの窓口に問い合わせをすることが多いでしょう。ただし、緊急時の対応や頻度によっては、情シス部門内に常駐スタッフを配置したほうが安心といえます。
具体的に委託できる業務として、以下が挙げられるでしょう。
インシデント対応 | 問い合わせ対応、各種申請対応、ナレッジやFAQの管理、障害情報・ユーザーアナウンス、ドキュメントの作成 |
リクエスト対応 | アカウントやパスワードの作成・更新・削除、各種機器のキッティング作業や設置 |
資産管理 | ハード・ソフトウェア管理、アカウントやライセンスの管理 |
機器管理 | ハードウェア・ソフトウェア・ネットワークの稼働確認 |
各種イベント対応 | 館内停電時の対応、PC・モバイル機器準備 |
監視 | ネットワーク監視、サーバーの動的・静的監視 |
テレワークの浸透や、個人の端末を会社の業務で利用するいわゆる「BYOD(Bring Your Own Device)」の拡大により、セキュリティが以前にも増して重視されるようになりました。セキュリティを徹底する企業では、セキュリティ対応の専門組織を設けているほどです。このような組織自体をアウトソーシングして、ヘルプデスクとして外部に設置する場合も見受けられます。
社外ユーザー向けのカスタマーサポート業務の例としては、製品やソリューションを提供している企業がユーザー向けに開設している窓口を社外にアウトソーシングするケースです。総合的な問い合わせ受付やテクニカルサポートといった業務があり、以下のようなさまざまな形式でサービスが提供されています。
- 365日24時間対応
- 夜間対応
- 休日対応
- ハードウェアの修理や点検の受付 など
ヘルプデスクの設置形態には、発注先の企業に常駐して社内に開設するオンサイト型と、外部のコンタクトセンターなどを利用するオフサイト型、オンサイトとオフサイトを組み合わせたハイブリッド型の3種類があります。
2-1. オンサイト型
オンサイト型の業務委託は情報共有がしやすく、緊急時にも迅速に対応することが可能です。既に企業内にヘルプデスクがあって増員する場合や、少人数のサポート要員を部署に配置するときなどに向いています。
2-2. オフサイト型
オフサイト型の場合は、ヘルプデスクの座席などのスペースや機材を確保する必要がありません。頻繁に問い合わせがあり、常時複数のオペレーターが稼働しなければならないヘルプデスクのアウトソーシングとして適しています。
2-3. ハイブリッド型
ハイブリッド型は、お客様先で対応するメンバーと外部のオフサイト拠点で対応するメンバーに分かれて業務を行う形式です。一部の業務は委託業者の拠点でコストを抑えながら運用し、急を要する場合は常駐している担当者が対応するため、コストパフォーマンスの高い業務委託が実現できます。
3. ヘルプデスクをアウトソーシングするメリット
社内のヘルプデスクをアウトソーシングするメリットとして、情報システム部門の担当者の負荷軽減・問題解決スピードの向上・業務の属人化解消があります。業務委託のメリットについてそれぞれ解説します。
メリット(1)担当者の負荷軽減
社員からの問い合わせやトラブルには、「ID/パスワードを忘れた」などの初歩的なものから、新規採用や異動の際におけるPCのキッティング、サイバー攻撃への対応、内部からの情報漏えいなどリスクの高いものまで、さまざまなものがあります。さらに24時間365日対応、あるいは夜間の対応まで社内情シス部門のスタッフでやろうとすると、確実にその他の業務を圧迫してしまいます。
アウトソーシングを活用してこのような負荷を軽減することによって、社内の情報システム部門のスタッフは社内のインフラ整備・セキュリティ対策・システム開発などのコア業務や戦略的なDX推進に集中して、生産性を向上させることが可能になります。
ITシステムのヘルプデスクは、アプリケーション、ネットワーク、データベースなど扱う内容に合わせて、特定の認定技術者や有資格者を担当者として採用するのが理想といえます。しかし、社内で育成しようとすると時間もコストもかかります。ですので、高度なスキルのスタッフ構成で対応することができる企業にアウトソーシングすることで、難しい課題の解決が可能になりヘルプデスクの信頼性を高めることにもつながるのです。
メリット(2)問題解決スピードの向上
専門的な知識を持つ業者にヘルプデスクを業務委託することで、ユーザーの問題解決スピードを早めることができます。経験豊富な担当者がヘルプデスク対応するのはもちろん、ナレッジマネジメントやFAQサイトの公開など、他社の業務で培ったノウハウを活用できるため、問題解決の時間短縮が期待できるでしょう。
ナレッジマネジメントの詳細については以下のコラムでご紹介しておりますので、ぜひご覧くださいませ。
昨今ではBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)を得意とするアウトソーシング企業も多く、ヘルプデスクの企画・設計・運用から品質改善までのプロセスを一貫して任せることが可能になってきました。単なる効率化や生産性の向上だけでなく、競争力を高めることや企業の提供する価値を向上させることに貢献できる委託業者も増えてきています。
メリット(3)業務の属人化解消
情シス部門ではソフトウェアやネットワークなど専門的な知識が求められるため、難易度の高い質問が来た際に新人では回答できない場合も多いです。そのため、問い合わせ対応がベテランに偏ってしまう”属人化”が起こりやすくなっています。
業務が属人化しているとベテランの退職や異動があった場合に、難易度の高い質問へ回答できる人がいないという状況になりかねません。業務委託をすればヘルプデスク対応を任せられるため、属人化は解消できるでしょう。
業務フローの構築やマニュアルの整備をしてもらうことで、委託業者へのブラックボックス化も防ぐこともできます。
4. ヘルプデスクをアウトソーシングするデメリット
社内および社外のヘルプデスクともにアウトソーシングのデメリットは「社内に知識(ナレッジ)が蓄積されないこと」や「情報漏えいのリスクがあること」だといえます。
業務委託を活用すると、問い合わせの内容や解決方法などの知識を共有する機会が少なくなります。もし将来的にヘルプデスクの内製化を目指している場合には、1からノウハウを溜める必要があるでしょう。
また、特に情報漏えいには十分に注意する必要があるでしょう。ポイントとしては、社内から外部にヘルプデスクのプロセス全体をアウトソーシングしている場合でも、外注先の企業の実態を把握しながら役割を明確に分けておくことです。加えて、外注先の技術と業務を掌握し、管理すべき要点を明確に定め、外部に開示する必要のない機密情報はシステム上で外部からのアクセスを遮断するなどの対応も必要でしょう。
アウトソーシングを選択する以上、コア業務に注力することが先決です。外部のプロフェッショナルに業務委託して社内をスリム化することに意義があるのです。ただ丸投げして放置してしまうのではなく、常に外注先の事業者と緊密に連絡をとるようにしましょう。
業務委託のデメリットとして重視すべきは知識が蓄積されないことよりもリスクマネジメントであり、人的漏えいが起きないための対策としてシステム上で役割と権限を設定して物理的に個人情報を守ることも大切です。
5. ヘルプデスクをアウトソーシングする際の業務委託費用

ヘルプデスクをアウトソーシング・業務委託する際の費用は、問い合わせ件数、内容、技術的な難易度などによって大きく変わります。一般的に一時的な問い合わせ対応とテクニカルサポートであれば、月間の費用でおよそ10~150万程度が必要です。故障した機材の修理が必要になる場合には、別途追加費用も必要になるでしょう。
月額費用も固定制や従量課金制などの課金制度によって異なります。業務の繁忙期、製品やサービスのリリース時期によって問い合わせやサポートが大きく変動する場合は、従量課金制のヘルプデスクのアウトソーシングを利用するとよいでしょう。
比較検討として多いパターンは「アルバイトや派遣社員を雇用してヘルプデスクを運用できないか」というケースです。情報システム部門の空席に3人程度のヘルプデスク要員を追加し、問い合わせがないときはバックアップや解析、メンテンナンスなどの業務を兼務させる程度の状況であれば検討の余地があるかもしれません。
しかし、アルバイトや派遣社員を採用するためのコストや時間、教育の煩雑さを考慮すると、アウトソーシングを利用したほうが効率的であり、高品質なサポートを実現できるでしょう。このあたりはケース・バイ・ケースで検討を進めていく必要があるといえます。
6. ヘルプデスクのアウトソーシングならパーソルワークスデザインへ
もしヘルプデスクのアウトソーシングをご検討されているのであれば、ぜひパーソルワークスデザインにお任せ下さい。ヘルプデスク専業として20年以上の経験とノウハウを有していますので、お客様と綿密な打ち合わせを重ね、お客様の実情をしっかりと把握したうえでヘルプデスクの委託業務を遂行させていただきます。
Yahoo! JAPAN様やDeNA様、アデランス様など、ヘルプデスクのアウトソーシング活用によって情シス部門がコア業務に注力できた実績は数多くありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
ヘルプデスクのアウトソーシング・業務委託サービスの詳しい内容につきましては、ぜひ下記の「関連サービス」ページをご覧くださいませ。