採用KPIの設定はどうすれば良い?実際の項目や運用方法について徹底解説

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採用KPIの設定はどうすれば良い?実際の項目や運用方法について徹底解説

採用KPIの設定はどうすれば良い?実際の項目や運用方法について徹底解説

重要業績評価指標を示す「KPI」というキーワードは、営業やマーケティングの世界でよく用いられています。ただ、昨今では人材採用の世界でもKPIを活動指標として設定することが珍しくなくなってきました。

採用活動を成功させるためには、KPIをベースに応募や面接を評価し、その達成度を測る必要があるのです。そこで本記事では、採用KPIを設定するメリットや設定方法、運用における注意点について詳しく解説していきます。

これから採用KPIの設定や運用について学びたい方や、既にKPIを設定しているものの改めて基本を確認したいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

1. 採用KPIとは何か?

採用KPIとは何か?

採用活動におけるKPIは、企業が採用プロセスを効率的に管理し、目標達成に向けた進捗を測定するための重要な指標です。KPIで採用活動の各プロセスにおけるパフォーマンスを数値化し、目標の達成度合いを測定することで、企業が採用戦略を改善していくことができるのです。

採用活動の各プロセスにおける主なKPIとしては、次のものが挙げられます。

【求人募集】
●応募者数
●採用チャネルごとの費用対効果

【説明会】
●出席数/率
●選考応募数/率

【選考】
●書類選考の通過人数/率
●面接の通過人数/率
●内定数/率

【内定後】
●内定承諾数/率(≒内定辞退数/率)
●採用単価
●入社配属後の評価
●採用後の定着率(≒離職率)

これらのKPIは、企業が採用目標を設定し、それを達成するための戦略を立案するうえで重要な指標となっていきます。また、採用活動中および採用終了後に、当初の目標をどの程度達成できたのかを測定し、次回以降の採用活動を改善するヒントにもなります。

例えば、3ヶ月後までに10人の新規採用を目指す場合、採用チャネルごとにどの程度の応募者が必要で、そのためにはどの程度の求人広告費用が必要であるかなどを、KPIを用いて計算することができるのです。(KPIの設定方法については、記事後半で詳しく解説します)

以上のように「採用KPI」は、採用活動を戦略的に進め、目標達成に向けた具体的な道筋を示すための重要な指標といえるでしょう。

2. KPIとKGIの違い

採用活動において、KPIとよく間違えられやすい用語として「KGI」があります。KPIとKGIはどちらも企業が採用プロセスを管理し、目標達成度を測定するうえで重要な指標ですが、その役割と目的が異なります。

KPIは、採用活動の各プロセスにおけるパフォーマンスを数値化した指標です。パフォーマンスを数値化していますので、企業はKPIを基に採用戦略を見直し、改善に努めます。

一方でKGIは「重要目標達成指標」の略であり、企業が設定した採用目標が「最終的に達成されたかどうか」を示す指標です。例えば、特定の期間内に特定の数の新規採用を目指す場合、その目標が達成されたかどうかを示すのがKGIです。

つまり、KPIは採用プロセスの進行状況を測定して改善点を見つけ出すための指標であり、KGIは最終的な目標達成を評価するための指標といえるでしょう。

3. 採用KPIを立てる3つのメリット

次に、企業が採用活動においてKPIを立てる主なメリットについて説明していきましょう。

メリット(1)採用活動の進捗状況を可視化できる
メリット(2)採用活動の精度が向上する
メリット(3)採用担当者や関係者の役割が明確になる

ここでは以上の3つについて、詳しく解説していきます。

メリット(1)採用活動の進捗状況を可視化できる

採用KPIを設定する最大のメリットの一つは、採用活動の進捗状況を可視化できることです。

採用活動は多くのプロセスから構成されており、それぞれの工程で何が起こっているのか、どのくらい目標を達成しているのかを把握する必要があります。

KPIは、前述したように「応募者の数」「書類選考の通過率」「面接の通過率」「最終的な採用率」など、採用プロセスの各段階でのパフォーマンスを数値化します。これにより、企業は採用活動の進捗状況を一目で把握でき、改善点を特定しやすくなるのです。

また、KPIを用いて採用活動の達成度合いを可視化することで、採用戦略を見直し、次回以降の採用活動を改善することも可能です。そうして具体的なKPIに基づいて採用戦略を立てることにより、採用活動をより効果的に展開できるというわけです。

メリット(2)採用活動の精度が向上する

採用KPIを細かく設定すれば、採用活動の精度が向上します。KPIは採用プロセスごとのパフォーマンスを数値化するため、現在どのプロセスがボトルネックになっているのか、また、どのプロセスが最も効率的なのか客観的に分かるためです。

例えば、書類選考の通過率が目標よりも低い場合は、求職者の質が低いか、または選考基準が厳しすぎる可能性を示しています。この場合、「採用チャネルを変更する」「応募要項を修正する」「選考基準を見直す」といった改善点が明確になるでしょう。

他にも、面接の通過率は高いけれども内定承諾率が低いという場合には、「適切なターゲット層にリーチできているものの、内定後フォローが不十分」だと推測できます。

内定承諾率を向上させるためには、「採用したい候補者には選考中から積極的に自社の魅力を伝える」「内定後は職場見学や社員面談の機会を設ける」など、入社のモチベーションを上げるような工夫が必要です。

このように、KPIを設定することで、企業は採用活動の精度を向上させ、より質の高い求職者の採用が可能になるのです。

メリット(3)採用担当者や関係者の役割が明確になる

採用KPIを設定すると、採用担当者や関係者の役割が明確になるというメリットもあります。

採用活動は企業の採用担当者のみでなく、面接官、外部の求人代理店、その他の協力会社など、多くの関係者が一緒になって行うもので、それぞれが特定の役割を果たしています。KPIを設定することで、各プロセスの担当者の役割や責任を明確化できるため、KPI達成に向けて各々が自主的に行動しやすくなるのです。

さらに、KPIを設定することで、採用活動の成果を公平に評価できるようになります。具体的な数値を基に昇給などを行うことで、採用担当者の努力が正当に評価され、モチベーションの向上にも繋がるでしょう。

4. 採用KPIの項目におけるポイント

採用の目的によって、重視すべき採用KPIは異なります。ここでは、採用KPIの基本的な項目についてポイントを解説していきましょう。

ポイント(1)KPIより先にKGIを決める

採用KPIを設定する前に、まずKGIを決めましょう。

前述した通り、KGIは企業が採用活動で達成したい最終目標を示す指標であり、KGIの達成度合いを測定するための指標がKPIです。KGIを先に設定することで、企業は採用活動の最終的な目標を明確にし、それに向けた戦略を立てやすくなるでしょう。

その後KPIを設定することによって、一貫した採用戦略を策定できるようになります。

ポイント(2)歩留まり率に基づいて評価する

採用KPIを考える際に重要な考え方が「歩留まり率」です。歩留まり率は採用プロセスごとの成功率を示す指標であり、採用活動の効率性を評価するために必要不可欠です。
例えば、下記のような採用プロセスの数値があったとします。

  1. 応募者が20名集まる
  2. 書類選考に10名が通過する
  3. 面接の後、5名に内定を出す
  4. 内定者のうち3名が承諾する
  5. 入社後、1年間で1名が離職する

この場合、各プロセスでの歩留まり率は以下のように計算できます。

  • 書類選考率:50%
  • 内定率:50%
  • 内定承諾率:60%
  • 入社後1年間の定着率:66.6%

これらの数値を比較することで、採用プロセスのうちどこにボトルネックがあるのかが明確になるのです。

例えば、候補者の母集団を最大化したい場合は、下記のような改善が必要になります。

  • 応募者数を20名から30名に増やすために、求人広告費用を増やす
  • 書類選考の通過者を10名から20名に増やすために、選考のハードルを下げる

また、質の高い候補者をピンポイントに採用したい場合には、下記のような工夫が必要でしょう。

  • 面接で一人の候補者にかける時間を増やすために、書類選考のハードルを上げる
  • 内定承諾率を上げるために、内定後のクロージングを強化する

このように、歩留まり率に基づいて採用プロセスを客観的に評価すると、採用活動全体の最適化につながるのです。

5. KPIツリーを作成する手順

KPIツリーを作成する手順

採用KPIを設定する際には、KPIツリーの作成が有効になります。KPIツリーとはその名の通り、各選考プロセスのKPIをツリー上にまとめたフォーマットです。ここでは、KPIツリーの作成手順を詳しく説明していきます。

手順(1)採用活動におけるKGIを設定する

はじめにKGI、つまり採用活動における最終目標を設定します。採用KGIは採用人数が重視されがちですが、採用にかかる期間や予算も考慮しておくことが重要です。

例えば下記のようにKGIを設定します。

  • 期間:半年以内に
  • 予算:300万円以内で
  • 人数:10名の新規採用を目指す

こうすることで、採用活動の全体的な目標が明確になります。

手順(2)採用チャネルごとに採用目標人数と選考フローを明確化する

次に、採用チャネルごとに採用目標人数と選考フローを明確化します。採用チャネルとは求人サイト、合同説明会、人材紹介など、求職者を獲得するための経路を指す用語です。

どのチャネルを経由して応募してきたかによって、応募者のスキルやマッチング度は異なります。ですから、チャネルごとに予算や採用目標人数を設定し、それぞれ選考フローを明確にする必要があります。

例えば次のような考え方が挙げられます。

採用チャネルチャネルの特性予算選考フロー採用目標人数
求人ナビサイト広範囲にアプローチできる
費用体系は先行投資型
150万円応募
書類選考
説明会
一次面接
二次面接
内定
6名
合同説明会応募者と直接コンタクトを取れる
費用体系は先行投資型
50万円説明会
書類選考 兼 一次面接
二次面接
内定
3名
人材紹介高いマッチング度が期待できる
費用体系は成果報酬型
100万円書類選考
面接
内定
1名
合計300万円10名

手順(3)選考フローに歩留まり率を当てはめる

その後、選考フローに歩留まり率を当てはめます。前年度の採用実績から歩留まり率が算出できる場合は、その数値を当てはめましょう。過去の実績を記録していない場合は、競合他社の歩留まり率を参考にすると良いかもしれません。

もし歩留まり率の目安がわからない場合には、採用専門のアウトソーシング会社やコンサルティング企業などに相談しても良いでしょう。

例として、次のように数値を設定していきます。

【求人ナビサイト】
●書類選考合格率:50%
●一次面接:50%
●内定率70%
●内定承諾率:60%

【合同説明会】
●一次面接:50%
●二次面接合格率:50%
●内定率80%
●内定承諾率:50%

【人材紹介】
●書類選考合格率:100%
●内定率50%
●内定承諾率:33.3%

手順(4)選考フローごとにKPIツリーを設定する

選考フローごとの歩留まり率が分かったら、KPIツリーの作成に移ります。先ほどの例のように設定したKGI、採用チャネル、歩留まり率に基づくと、次のようなKPIツリーが形成されます。

【求人ナビサイト】
●応募者数60名
●一次面接合格者数30名(書類選考合格率50%)
●二次面接合格者数15名(一次面接合格率50%)
●内定数10名(内定率70%)
●内定承諾数6名(内定承諾率60%)

【合同説明会】
●面接者数数32名
●一次面接合格者数16名(一次面接合格率50%)
●二次面接合格者数8名(二次面接合格率50%)
●内定者数6名(内定率80%)
●内定承諾者数3名(内定承諾率50%)

【人材紹介】
●面接者6名(書類選考合格率100%)
●内定者数3名(内定率50%)
●内定承諾者数1名(内定承諾率33.3%)

このKPIツリーに沿って、日々の採用活動を進めていきます。

6. 設定した採用KPIを運用していく際のポイント

採用KPIを効果的に運用するためにも、次の2つのポイントを意識しましょう。

ポイント(1)自社にとって重要なKPIを見極める
ポイント(2)KPIはリアルタイムで管理し、定期的に進捗を振り返る

それぞれ説明していきます。

ポイント(1)自社にとって重要なKPIを見極める

数あるKPIのうち、自社にとって最も重要なKPIは何なのかを見極めて、数値の改善に努めましょう。

重要なKPIを見極めるためには、自社の採用目標を明確化する必要があります。例えば、大量採用を目標にするのか、少数かつマッチング度の高い採用を目標にするのかでは、重視すべきKPIは大きく異なります。

次に、過去の採用活動データは積極的に活用しましょう。どの採用チャネルが最も効果的であったのか、どの選考フローがボトルネックになっていたのか、などを分析すれば、より適切なKPI設定が可能になります。

ポイント(2)KPIはリアルタイムで管理し、定期的に進捗を振り返る

採用KPIは一度設定したら終わりではなく、リアルタイムで管理しながら定期的に見直すことが重要です。選考中にリアルタイムでKPIをチェックしていれば、状況に応じて採用方針を迅速に変更できるでしょう。

例えば、求人ナビサイトから想定以上の応募者を獲得できている場合、その他の採用チャネルを閉じれば面接対応に集中できます。

一方、母集団が想定よりも少ない場合は、人材紹介経由の面接設定数を増やす、新たな説明会を予約するなどの施策が必要です。採用KPIは基本的に毎日チェックし採用チーム内で定期的に共有し合いましょう。

KPIに基づいて自社の採用活動を客観的に評価し、迅速にPDCAを回すことで、採用力の強化につながるのです。

7. 採用KPIの運用における注意点

採用KPIを運用する際、採用の目的によって注意するポイントが異なります。

(1)採用人数を重視する場合のKPI
(2)採用の質を重視する際のKPI

ここでは、以上の2つの視点から注意点を解説していきましょう。

(1)「採用人数を重視する場合のKPI」での注意点

目標採用人数が多い場合は、書類選考通過率を高め、面接設定数を増やす必要があります。採用条件は無理に狭めすぎず、広めに設定しておきましょう。

ただし、書類選考のハードルを広げると、自社の理念や業務内容に対する理解が不足している応募者も一定数発生します。そのような応募者は不合格となるか、選考途中に辞退してしまう可能性があります。

そのため、面接を受けた候補者の入社意欲が高まるような面接を行い、辞退者数を減らして採用人数を確保することが必要です。ですから、「面接実施数からみた内定承諾数(率)」が重要な歩留まり率になります。

(2)「採用の質を重視する際のKPI」での注意点

採用の質、つまり自社が求める人材像とのマッチング度を重視する際は、選考プロセス全体の通過率が重要なKPIとなります。

例えば、書類選考の通過率は高い一方で面接の通過率があまりに低い場合、書類選考担当者と面接担当者の間で求人要件の認識がずれている、合否判定の基準が統一されていない、などの問題が考えられます。

加えて、内定辞退率も重要なKPIとなります。時間と労力をかけて内定を出しても、内定承諾につながらなければ意味がありません。内定辞退率が高い場合は、面接時に自社の魅力をアピールできているか、面接官の態度に問題が無いかなど、候補者の入社意思を確認できているかなどをチェックしましょう。

8. 採用のアウトソーシングならパーソルワークスデザインへ

本記事では、採用KPIを設定するメリットや設定方法、運用における注意点についてご紹介してきました。

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