江戸川区役所様
運用でもシステムでもカバーできる強固な体制。そして、「ここまでやるのか」というほどの生真面目さ
江戸川区役所
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江戸川区様では、区内の中小企業の経営改善や設備投資に役立ててもらうべく、必要な資金を有利な条件で利用できる『あっせん融資制度』を設けていました。しかし、2008年のリーマンショックを境に申請件数が爆発的に急増し、関連業務の委託を検討。プロポーザルを経て日本アイデックス(現・パーソルビジネスプロセスデザイン)が受託することになったのです。パーソルビジネスプロセスデザインは、実直な対応や提案を重ねることで安定的な運用をスタート。2020年のコロナ禍において再び申請件数が急増することになった際も問題なくカバーでき「お願いして良かった」と感じていただけるようになりました。
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Before
- リーマンショックで融資の申請が爆発的に急増し、対応が不可能に
- システム運用をしたいが臨時職員を入れるのは現実的ではない
- 夜の10時過ぎまで残業が続いてしまう日々
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After
- 負荷の高い業務を皮切りに、対象業務を拡充しながら段階的に委託
- 制度が変わったとしても、運用でもシステム開発でもカバーできるように
- 夜の10時過ぎまで残業が続いてしまうことも減少
導入前の課題
リーマンショックを機に利子補給の申請が急増、対応不可能に
江戸川区様では、区内の中小企業の経営改善や設備投資に役立ててもらうべく、必要な資金を有利な条件で利用できる『あっせん融資制度』を設けています。『あっせん融資制度』では、支払った利子の一部が助成されるだけでなく、信用保証協会へ支払った信用保証料も全額補助されます。また、区の融資以外に東京都の『あっせん融資』の一部にも利子補給を行っていました。
この制度について菅井様は、「制度そのものは昭和40年代からあって、利子の補助などは昭和61年からあるんです」と経緯を説明してくださいました。
区と都、2つの制度への補助のうち、都融資への利子補給は、年間の利用件数は20件程度でしたが、2008年を境に状況が一変します。『リーマンショック』が起きたのです。
菅井様は当時を振り返って口にします。「2008年の夏にリーマンショックが起きて、10月頃から区融資、都融資とも多数の利用申請が来ました。特に都融資は前の年までは20件余しかなかったのが、3000件から4000件ぐらいまでに増えてしまったんです。夜中10時過ぎまで職場に残りながら『これはもう、物理的にも対応不可能だろう』と思いました」
「あっせん融資」の手続きは、1回で終わるものではありません。受付をして、金融機関を紹介して、融資を実行。1年後に利用者へ申請書類を送り、1年の間に返済された利子について、その時点で申請をもらい、補助が行われるのです。つまり、2008年10月に大量の申請が来た段階で、「1年後にどうなるのかが想像できてしまう」というわけなのです。
新たなシステムの開発をしようにも、その後の業務運用のことまでを考えると現実的ではありません。実際、菅井様も「システムはできたとしても、審査業務のために臨時職員を入れるのか、という話になりますが『じゃあ、その臨時職員をいつまで雇えばいいのか』ということも考えなければいけない」と及び腰だったようです。
そこで考えたのが、『あっせん融資』の業務を外に出す、業務委託だったのです。
江戸川区様ではメール発送などの業務委託の契約登録をしている会社が100社くらいあったといいます。ただ、各社の実績などを見ると、今回の業務に向いている企業はあまり無さそうだったため、菅井様はご自身で探していったといいます。
「インターネット上でアウトソーシングの会社を調べて、20数社ぐらいの会社にお声がけしました。そのうちの1社に、日本アイデックス(現・パーソルビジネスプロセスデザイン)という会社もあった、という感じです」
取り組み内容
『体制』と『業務理解』を軸に業者選定。そして、段階的に移行
声を掛けた20数社のうち、手を挙げてきたのは4社ほどだったようですが、江戸川区様が仕様書を出し、それに対する提案を求め、書類審査とプレゼン審査を経てパーソルビジネスプロセスデザインに決定しました。
決め手となった点について菅井様は「重要だったのは『体制』ですね。実際に業務を実行するための体制づくりができるかどうか。あとは実績と、私たちが出した仕様書に対してどれだけ理解があったかという点ですね」と語ります。
官公庁のあっせん融資業務をトータルで扱っているような委託会社はほとんど無かったようですが、その理由としては“データベースを構築して業務管理をしなければならない点”だと菅井様は言います。
「パッケージソフトで提供しているところはあるんですけど、ただそれを運用していくのは結構な手間なんですよね。サーバーの管理だけでなく、新しい制度ができたり、新しい条件で計算し直したり、帳票類の変更もありますので。ですから、システムだけでなく、その業務の運用も含めて丸ごと委託したかったわけです」
自社内にシステム開発部門を持っており、『対応できる』と回答したのがパーソルビジネスプロセスデザインだけだったようで、「そこがポイントとしては1番大きかったと思いますね」と菅井様は強調されました。
「ただ、最初は大変でした」と菅井様は続けます。「それまで少数の内部の職員だけが理解していたことをパーソルビジネスプロセスデザインの方々に理解してもらうっていうのと、やっぱり拠点に物理的な距離があるので、それをどう円滑にやっていくのかというのは試行錯誤がありましたね」
そうして試行錯誤を重ねながら業務委託を進めていった江戸川区様。ドキュメントなどは細かいところまで整っていない状態でしたが、菅井様によれば「パーソルビジネスプロセスデザインの皆さんがその辺りもきちんと理解してくださって、現場のスタッフの方々がうまく進められるようにドキュメントもまとめてくださったので、上手くいきました」とのことでした。
ただ、元々の業務を動かしながらでもあり、平成21年度中は、まだリーマンショックの影響で窓口業務も多忙を極めていました。そのため、いきなり全てを委託するのは難しかったようです。
「最初の年は『1番負荷が増えた都融資の業務』から始めて、翌年は『区融資もお願いします』という感じにして、その間に徐々にシステムも拡充していってもらって、段階的に移行するという工夫はしましたね」と菅井様はご説明くださいました。
導入の効果
万全の体制により、“コロナ禍による申請急増”でもしっかり対応
江戸川区様の業務委託は基本的に単年度契約であり、会社を指名して翌年も契約できるのは2回まで。つまり契約はトータルで3年間続きます。しかし、3年に一度は業者選定をやり直す決まりになっているため、平成24年度、平成27年度、平成30年度、令和3年度と選定をしているのですが、すべてパーソルビジネスプロセスデザインに決まりました。
その理由について菅井様は次のように説明されます。「業務の複雑さで他の会社さんが諦めて手を挙げなかった年もありましたが、もちろん他の会社さんが手を挙げた年もありました。ただ、パーソルビジネスプロセスデザインに対して困っている点が無いというのが大きいんですよね」
“困っている点が無い”ということなので、逆に“満足している点”についてお伺いすると、「ひとことで言うと真面目だということ。『生真面目』と言ってもいいかもしれないですね」と笑顔を見せます。
続けて、その『生真面目さ』について具体的なエピソードを次のように語ってくださいました。「まず、なにか問題が起きた時の報告の早さ。そして、その後の原因究明と、対策の立て方。その対策の立て方も『こんな小さなことに対して、ここまでやるのね』と思うところもあります。その問題の原因が決してパーソルビジネスプロセスデザイン側じゃなくても、『こういうことが2度と発生しないように、こういった対策をとりましょう』って提案してくれるのは本当に素晴らしい点ですね。それは本来、うちが考えるべきことなのかもしれないのに」
さらにそれだけでなく、体制についても言及してくださいました。「問題が起きたら運用でカバーしてくださる場合もあれば、システム開発でカバーしてくださる場合もあります。システム側で『試しにやってみよう』っていうのは、内部にシステム部門を持っていないと難しいですが、そこも備えているから強いですよね」
もともとリーマンショックに端を発して業務委託を検討するようになった江戸川区様。
その結果としてパーソルビジネスプロセスデザインへ委託するようになり、10年が経過して思わぬ効果があったと言います。
「令和2年からコロナ禍で大騒ぎになり、対策のための特別な融資も組んだわけです。ちょうど10年前のリーマンショックと同じように窓口も大混雑して大変だったわけですけども、今回はもう既にパーソルビジネスプロセスデザインさんにど真ん中に入ってもらっていたので安心でした。本来であれば『ここまでやってもらうのは申し訳ないな』っていうところまでやってもらっているので、パーソルビジネスプロセスデザインさんにお願いしていて良かったなと思います」
さらに「お願いして良かった」という点について菅井様は、「少なくともリーマンショックの時みたいに夜中10時過ぎまで職場に残ることは減っていますからね」と語ります。残業が減ったことで「コア業務にも集中できるようになった」と言いますが、具体的には「例えば、予算がどのぐらいかかるかをシミュレーションするとかは職員がやる仕事ですし、議会の議決をするための資料づくりなどもコア業務ですから、そういったものに集中できるのは良かったです」とのことでした。
最後に、今後の要望についてお伺いすると「業者選定でどうなるか分かりませんが、お願いすることになるとしたら『オンライン化』ですね。申請などもオンライン化されていくはずですから、そういった変化に対しても柔軟に対応いただければと思っています」と期待を口にされました。
お客様プロフィール 江戸川区役所
江戸川区は東京23区で4番目の広さを持つ区であり、都心部へのアクセスの良さや公園の多さ、子育て世代への支援の充実などから若い世帯の多いベッドタウンとして発展してきました。2019年には人口が70万人を超え、合計特殊出生率は中央区に次いで23区で2番目に高くなっています。公園の総面積も23区で最大であり、さらに「水辺」の特色ある公園も多く、古川親水公園は日本初の親水公園としても有名です。毎年8月に千葉県市川市と共同開催で行われる『江戸川区花火大会』は、約14000発もの花火が打ち上げられ、市川市側も含めると全国最大の140万人近くの観客を集めています。
本社所在地 | 東京都江戸川区中央一丁目4番1号 |
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設立 | 昭和7年10月 |
代表者 | 斉藤 猛 区長 |
従業員数 | 3,571名(令和2年4月1日時点) |
担当者コメント
江戸川区役所様において本案件の運営サポートをさせていただくようになって10年以上が経過しました。
委託の経緯となった件数の急増対応については、2020年以降のコロナ渦を職員様と協力し、無事に乗り切ることで解決できたと考えております。菅井様からは「ありがとう、お願いしていて良かった」という、委託業者としてとても励みになるお言葉もいただきました。今後もパートナー企業として区の制度に寄り添い、オンライン化などの課題にも積極的な提案を行っていきたいと思います。
※掲載内容は取材当時の情報です。
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